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俺は脳筋じゃねぇ!〜辺境群雄・オストベルゲン立志伝〜   作者: 丸一
1章 領主見習編〜やべぇ。破産する前に改善させないと。
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父上。欲しいものがあるのです。

うーん。前書きに書くことが無くなってきたぞ?

 

 「父上。ボクは領地が欲しいです。」


 祝いの場は凍りつき、大騒ぎは水を打ったように止まった。アドルフは年齢に似合わない願いだったのか。それとも、態度がおかしかったのか?と、不安になった。


 場面は半日ほど前に遡る。アドルフを筆頭に、アドニスとアルベロの誕生日の祝いが行われることになった。食事や装飾はささやかではあるが、家臣たちの出し物と、大騒ぎによってお祝いは大成功と言えた。直轄の村々もお祭り騒ぎらしい。


 (相変わらずスゲーな。このテンション。)


 自分たちを祝ってくれているのは本当にありがたいが、少しテンションの高さに引き気味のアドルフ。物心ついたばかりのアドニスは自分の袖を掴んで怯え気味だし、それより幼いアルベロは父の腕の中でギャン泣きしてる。


 「どの若様も元気でよろしい!」


 いや、ひきつけを起こしかねんからやめてやれ。とは思ったが、幼心に筋骨隆々の強面戦士が迫る事になれるから、オストベルゲン家は強いのかな?と変な考察と納得をしてしまうアドルフ。


 「いや、そうじゃない。そうかもしれないけどそうじゃない。」


 首を振って納得しかけてた思考を追い出し、父から弟を引ったくると、母に手渡した。家族としての情や繋がりを感じてはいるが、見ててハラハラするのは変わらない。


 「アドルフは良い兄をしてるな。」


 母・アデーレが受け取るとアドルフの頭を撫でる。無骨な手ではあるが安心感がある。四人目を作ろうとしながら武芸を嗜むあたり、奥方とか夫人とかの称号とは縁遠い人物ではあるが。


 「若様たちにお祝いの品でございます。」


 この家だけだと思うが、ベロベロになりながら家臣たちが誕生日プレゼントを渡してくれる。まぁ、娯楽も少ないみたいだし、カールもなにも言わないのなら問題ないだろう。


 「こちらを受け取りくだされ。」


 数本の武器が差し出される。大人用の重量級武器だ。メイス、ハンマー、金棒、モーニングスター。初めは、「こんなのどうしろってんだ。」と思っていたが、送ることが重要らしい。『若様にも忠誠を誓います。』との儀式のようなものになるとか。

 送られる方が望む物を送るのは、もう少し歳を重ねてからになると教えてもらったの少し前だ。


 (それなら持ってこなくても良いんじゃないかなぁ。)


 まだ乳飲み子のときに、メイスに潰されかけた記憶が蘇ったアドルフは祝いの席ながら頭を抱え、ため息をついた。

 

 「何か欲しいのものでもあるのか?」


 そんな様子をみて不満か。それとも不足があるように見えたのか。母が尋ねる。


 (アドルフは稀にとんでもない無茶や無理をするが、基本的に素直で周りをよく見る息子に褒美を与えるのもいいだろう。また腕や背中が吹き飛ぶような無理をするぐらいなら褒美に夢中にさせたほうが良いな。)


 と、考えてのものだった。父もほろ酔いながらも同意してくる。


 「馬か?武具か?あ、金銀財宝や女は無理だぞ?」


 なにかな?なにかな?と、父や家臣が集まってくる。筋肉大男の集団が子供を囲んでおり、圧がすごい。


 (子供らしく無難なものにしたほうが……いや、待てよ?)


 初めは無難に流すべきか?と考えたアドルフだったが、帳簿の内容を思い出し、欲しいものを思いついた。


 「父上。ボクは領地が欲しいです。」


 と、冒頭に戻るわけになる。





 「なるほど。兵を動員しないといかんな!」


 静まり返った場はカールの一言で活気を取り戻した。が、なんか物騒な事を言った気がした。


 「東ですか?南ですか?」


 同じく活気と共に殺気も灯った家臣団。いや、後者は必要ない気がするんだけど。


 「東に攻め入るか!待ってろアドルフ!」


 よーし。パパ。頑張って息子のために領土取ってこようかな?そんな気楽なノリで軍を集めようとするカール。


 「待って!攻め込むってなに?!」


 領地運営の練習と、現状確認のために小さな領地がほしいなぁ。と、言ったつもりだったが、


 「新しい領地を分捕ってきてほしい。」


 と、カールたちは聞こえたらしい。アドルフは必死に動員と出兵を止めた。領内経営の練習をしたい!戦争はヤメレ!と。


 「なんだ。違うのか。たまにはコチラから攻めてもいいかと思ったのだがな!」


 恐ろしいことを言うな。この父。ゾッとしたアドルフはなんとか戦闘方向に向かった熱量を宥めて方向を修正した。


 「うーむ。確かに言わんとすることはわかるが、武芸が疎かになってしまっては我が家の沽券に関わる。皇帝が侵攻する際は一番槍を。防ぐ時は鉄壁に。何度も言うが腕っぷしがないと、我が領内を治められんぞ?」


 あからさまに嫌な顔をするカール。家臣団も反対半分。戸惑い半分と言った感じで好意的な人物は一掴みほどだ。このまま反対意見で流れが決まるかと思ったが、


 「おねがいします。父上。武芸もおろそかにしませんから!」


 「うーーーーーーん。そこまで言うなら仕方ない。本当に仕方ないが許そう。」


 『熱意』あるアドルフの一言に心動かされたカールが渋々認めた。心変わりに家臣たちは驚くが、カールの決定には異論はなかった。

 詳細な場所は後々にカールとオトワットが話し合うことになり、アドルフは領地をもらえることになり、見習いではあるが、わずか5歳で領主になることになった。


 (つ、疲れた。使い所を考えないと危ないわ。)


 グッタリと疲弊したアドルフは椅子によろけるように座ると、体を休めるのであった。

 

 

 次回は今週中に上げれそうです。同僚に勧められて、ミステリーを読み始めましたが、トリックとか小難しい。

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