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俺は脳筋じゃねぇ!〜辺境群雄・オストベルゲン立志伝〜   作者: 丸一
1章 領主見習編〜やべぇ。破産する前に改善させないと。
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家財と収入は減り、疑問は増える。

 いやー、サクサク進めるつもりが難産ですなぁ。とりあえず現代人の知識チートはもう少し先で行います。

 『よわい3つで武芸と大望に目覚め、4つで負けの痛みを知り、5つで政治に興味を持ち参加を考える。蛮王の幼年は野心の大きさに比例する才能と行動力であった。』


       〜〜〜〜『蛮王記』より抜粋。


 ……などと後世では語られる事なと露とも知らないアドルフは、派手に吹き飛び傷跡が残る右肩を撫でる。ボコボコとした感触が自分の失敗を否応なく思い出させる。

 稀術を学び始めて2年。大怪我をして1年が経過して、5歳になったアドルフ。オストベルゲン家の血統らしく頑健な体に成長していた。本当に以前の大怪我以外に風邪一つならない。

 怪我をした当時は周囲は大騒ぎだったらしいが、正直、意識がなかったアドルフは呑気に、


 「不思議と交通事故より痛いとは感じなかったな。」


 など呟いたものだ。多分、日本語じゃなかったらぶっ飛ばされてただろう。

 ともかく、大素マナを吸い、溜め込みすぎた一件。後に『暴発事件』と呼ばれた事件はアドルフの心情に変化を起こすことになる。


 (内心40歳近いのに親を悲しませるなんて。あんなに傷だらけになって助けてくれる人は悲しませないようにしないと。)


 オトワットから聞いたが、大素マナが溢れ、術が暴発したアドルフをカールが重傷を負いながら救出した。この話により「悪い人ではないけど。」と、何処か壁を作っていたアドルフだったが、親として壁をなくすような態度になった。


 (これからはできるだけ隠れてやらないと。大怪我はしたけど、掴んだものは多いしな。)


 その代わり隠れて行うようになったが、怪我をしたことによって限界点がわかったアドルフの術は跳ね上がる様な上達をすることになる。


 また、幾分かの。家臣団の一掴み以下ではあるが、他の方向を見るようになっていくことになった。





 「と、まぁ、現実逃避しても、数字は改善されないよねぇ。赤いわー。」


 今までの回想や思い出は真実ではあるが、今のアドルフとしては手元にある帳簿の内容を受け止められず、現実逃避してしまったのだ。一言で言うなら赤字。帳簿に詳細は書かれていないが総合の収支は書かれていた。


 「詳細がわかればなぁ。城の周辺や直轄地の詳細はあるのに。」


 オトワットがまとめているオストベルゲン家の直轄地とも呼べる地区は中世レベルとしては細かくまとめてあるのだが、他の地区は簡単な収支しか書かれていない。オトワットの息子や身内が統治してるから問題ならしいが。


 「モノの流れや金の流れがわからん。他の貴族と付き合いがないって言っても民間レベルでもないの?」


 調べれば、調べるほど、歪な統治をしているオストベルゲン家。脳筋とか以前に統治機能が低すぎる。本当に戦闘に勝つことを中心にしてたのだろうが、補給とか軽視し過ぎだろう。アドルフはもう一度現実を逃避したくなった。


 「こりゃ、家を継いだら3割も残らんな。家財も減る速度が思った以上にひどい。そもそも何に使ってんだよ!」


 だが、頭痛によってアドルフの思考は現実に戻された。わからないことが多すぎる。オトワットに頼るのも限界がある。そもそも、オトワットの対策も気になる。頭の中がグルグルしてきたアドルフは大きく息を吐いて、今夜の調べ物をやめ、執務室から自分の部屋に戻ることにした。


 「コソコソするのにもなれたなぁ。」


 窓から静か外に出ると、宙を浮き自分の部屋の窓を開いてベッドに潜り込んだ。


 

 

 次話はちょっと間が悪かもしれません。女の子の出番はまだ先になるかも。

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