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俺は脳筋じゃねぇ!〜辺境群雄・オストベルゲン立志伝〜   作者: 丸一
0章 人生把握編〜やだ。我が家って脳筋蛮族なの?〜
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幕間 家臣から見た幼年期

遅れましたが、投稿します。垂れ流すように文を書いているので、もう少し勉強して直していきます。

 ※オストベルゲン家の命綱 

   ジェームズ・オトワットの場合


 もう。何年前になるか。カール様。もとい、伯爵並様に初子かお生まれになられたと伝達を受けたのは、私が各村々から収穫量が減っているとの代官からの報告書を捌いているときだった。

 申し訳ないが、私の感想としては嬉しさより、困惑が始めに来たものだ。伯爵並様を始めとしてオストベルゲン家は考えなし。いや、単純一途か人間が多い。領地の方向性や伯爵並様たち武官の活躍に影響される人間が多いこともあり、アドルフ様もそういう(・・・・)人間に、後継ぎになるかと考えたときは素直に喜べないものだ。

 しかし、先代様に引き立てられ、伯爵並様の側役でもある私が大恩あるオストベルゲン家を破綻させるわけにはいかない。どの様な方でも微力を尽くすまで。


 「コチラは私の城内での私室でございます。」


 しかし後年、伯爵並様に御側役兼教育係を命じられ、アドルフ様を仕事部屋にお連れした際に私は大きな衝撃を受け、思い込みを恥じたものだ。

 一番に軍記や兵法書に興味を示すと思っていたアドルフ様は、帳簿や政治学に興味を持たれたのだ。年甲斐もなく嬉しさに涙を流したものだ。


 (これは。天がくだされた好機よ!いや、不遜な。)


 当代の伯爵並様も内務を出来る頭はあるのだが、性格的に向いていないのか。進んで内務や外務を行うような方ではない。無論、当代様をお育てした私の責任ではあるが、アドルフ様には同じ轍を踏ませぬようにせねばなるまい。

 私の教育方針は決まった。御恩ある先代様や当代様には申し訳ないが、老い先短い我が身を使い、持ちうる全てを教えて差し上げねば。


 「これが稀術です。」「これがオストベルゲン家の情報になります。」「現在の収入がこれほどに」


 私は焦っていたのかもしれない。オストベルゲン家は短命の家柄。しかも、当主の戦傷か戦死しかない。早く育てなくては。と。

 アドルフ様も幼児にしては、授業内容をよく聞き、わからないことは時間を考えながらも解るまで訪ねてくださった。ときより、疲れ切った顔をすることもあったが私は次代の当主様の可能性にのめり込んでいた。


 「アドルフは良い当主になりそうだな!」


 「もちろんでございます。伯爵並様の武勇をもちつつ、政治も行える一廉の人物になりましょう。」


 伯爵並様も明快な方ではあり、人格的にも単純ではあるが善人だ。赤字ではあるが、領民が反乱などを起こさないのも伯爵並様の持つ解りやすい魅力による物でもあるだろう。


 ………ですが、伯爵並様も私もアドルフ様に無理をさせていたのだろう。教え始めて一年と少しの夏の盛り。事件が起きた。


 「医者!拝み屋!何でも良い!アドルフ様の傷を治す者を連れてくるのだ!」


 アドルフ様が城の裏手で大素マナを限界以上に吸い込んだのだ。普通なら吸い、溜め込みすぎた大素マナを排出できず『悪魔』などと呼ばれる人外の者になるものだが、アドルフ様は、右腕と肩、背中の一部を皮と肉ごと吹き飛ばし、無理矢理に排出したと言う。


 「医者という医者。ともかく、連れてくるぞ!」


 騎士にしろ、兵士にしろ。焦りを浮かべつつ四方八方に散っていた。私も苦手な馬に跨がり、心当たりを虱潰しに探すことにした。


 ※若き熟練騎士(三バカ)

   バルド、ベルン、バルドの場合。


 「医者はどこだぁ!!」「いつもはその辺にいるだろう!」「隣村らしい!」


 筋肉ムキムキの大男が走り回り、四方八方に散っていく。そんな慌ただしい中で、更に一回り大きな三人が立ち尽くす。私はベルン。他の二人はバルド(R)とバルド(L)。普段なら他の面々のようにすぐさま行動をしただろう。それがオストベルゲン家の基本であるし、数日前の俺、いや、私もそうだった。


 「しばらくは側役をオトワットに頼むね。」


 一年前のことだ。私はアドルフ様に命令を下された。。アドルフに命令を下される少し前に、私達3人は御当主様より長子・アドルフ様の御側役を仰せつかった。


 「なんのことはない。」

 「若くて騎士の中でも指折りの我らを選ぶ。」

 「さすがは御当主様よ。」


 正直、あの頃の私達は、選ばれて当然。間違いなくそんな考えになっていただろう。なにせ、三人がかりで戦えば、御当主様から一本は取れる猛者なのだ。とな。


 「は!わかりました!」と、上の命令を下されても何も考えずに「武芸を鍛える時間が増えた。」程度にしか思っていなかった。

 しかしだ。いつまで経ってもお呼びが来ない。狩りにもいかない。馬には乗るが、遠乗りはしない。これがオストベルゲン家の跡取りか!?痺れを切らした私はアドルフ様に直談判を行った。


 「本ばかり読んで何になる!強くならねば!」


 「武芸は必要なのはわかってる。いずれは戦うこともわかってる。でも、ボクは今は勉強をするよ。」


 「獣の様な獰猛さこそ。戦士の本懐です!」


 「このままだと、10年後には戦をする武器も修理できなくなるかもしれない。ボクは父上の跡をついで君たちを食べさせないといけない。餓えさせる領主なんてカカシにもならないからね。」


 十数年。生まれてから鍛えた腕っぷしをバカにされた気がして、アドルフ様の言葉を信じていなかった。知識なんて殴られたら無くなってしまう。考える暇があるなら、殴ったほうが早い。


 「だが、この体たらくはなんだ。アドルフ様が大怪我をしても、医者の場所もわからない。我が家の騎士や兵士に知る者がおらず、四方に散るだけ。」


 もし、医学の知識があるならば?いや、そうでなくても、なんとかなるだけの能力があれば?現にアドルフ様の傷を癒やすのに腕っぷしではどうにもならん。


 「だが、出来ることは走って探すことだけだ。」


 傷が癒えたらアドルフ様に無礼を謝ろう。私とバルド達は他の面々と同じように無闇に探すしかなかった。

つづきは明日。もしくは再来週になります。

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