ハッピーバースデー 他人
他人のお誕生日会を眺める事ほど嫌いな事はなかった。
私のお誕生日は誰にも祝ってもらえないのに。
幸せそうな顔をしている人間達を、今すぐにでも引き裂いてやりたい。
たくさんのプレゼントの山を破壊して、綺麗なドレスも飾りつけも燃やすか、ゴミ箱にぶち込んでしまいたい。
誕生日?
生まれてきてありがとう?
そんな言葉、嬉しいの?
生きてるのって普通の事じゃないの?
誰かが喜んだって、悲しんだって、人間生まれてくるもんは生まれてくる。
そこに良いも悪いもないじゃない。
なんでそこに余計なものをつけたそうとするのよ。
だから、気に食わないそれをぶち壊したいのに、私の中に植え付けられた常識だかルールだかが邪魔をする。
私をこれ以上みじめにしないで。
誕生日なんて、ただの一日、人一人が産まれただけの日。そんなものだって! 余計に付け足されたただの事実なんだって!
鬱々とした感情をため込んでいた私は、心の中に何かが生まれるのを感じた。
「ジャア、ワタシが代わりにコワシテあげる」
ああ、それは他人だ。
私じゃない物の魂。
こんな事ってあるんだ。
私は自分の心の中につぶやいた。
「ハッピーバースデー、ただの他人さん」
そいつは、ただ生まれただけ。
私だってただ生まれただけなんだもん「好きで産んだわけじゃないわよ、あんたなんか」ってママとかいう奴が、言ってたからさ。
私は知らない。
生まれたこいつが何を言おうが、
「コワシテ、コワシテ、コワシテあげるよぉ!」
何をしようが私には関係ない。