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勇者の魂を救ってやって欲しいと?やる事が山積みだな。

月曜日の午前中は王宮での政策会議がある。

国王陛下、ディオン皇太子殿下、フォルダン公爵、アイルノーツ公爵他、

有力貴族達や、外務部、土木部、等各政治を執り行う部署の代表、

ローゼン騎士団長やザビト治安隊総監も、勿論参加している。

今回、勇者ユリシーズが初めて参加する事となった。


ああ…ドキドキするなぁ…。俺、上手く発言できるだろうか。


ユリシーズは時間を見つけては、王家が行っている国民の国政に対する要望を受け付ける相談部が王都にあるので、そこへ出向いて、他の係の人と共に国民の相談を受けるようにしていた。

ディオン皇太子と約束したのだ。勇者ユリシーズとしての広告塔の役割を果たすと。

皆、ユリシーズが窓口係だと、喜んで話をしてくれる。

必ず握手とサインを求められた。勇者ユリシーズの名前は昔からこのマディニア王国でも有名なのだ。

もうすぐアイリーンに赤ちゃんが生まれる。しっかりとした父親にならないと。

ユリシーズは張り切っていた。


今日は要望相談部の代表アマリア・ディケル伯爵夫人と共に、初めて国政会議に出席したのである。


国王陛下が配られた書類を手にしそれを見ながら、

「それでは会議を始める。まず、農政部。先週の各地方の穀物の出来高、流通量を報告せよ。」


農政部代表は資料を手にしながら、

「南部地区は例年より120パーセント、トマトの豊作が続いており、他にも資料にある通り、キュウリ、ナス等、夏野菜が豊作で、我が農政部の価格調整によって値段の下落も無く、

問題ないと思われます。東部地区は…」


と報告が続けられていく。


国王陛下は一通り聞いた後、


「続けて外務部。」


外務部代表テリアス外交官は、


「それでは諸外国の情勢について報告致します。アマルゼ王国について。

国王陛下の容態は小康状態が続き、実権はジョセフ皇太子殿下が引き続き握っている状況です。国内情勢は安定しております。続いて、ジュエル帝国、皇太子ロベルト、第二皇子アルフレッドの横暴が続き、宰相リュカルドの派閥との間がかなり剣呑な状況です。」


ディオン皇太子は、


「政変が起こりそうか?」


「はい。もしかしたら、宰相リュカルドが我が国に亡命中の第三皇子ファルナード殿下に接触を図るかもしれません。ファルナード殿下は勇者ファルギリオンとして名がジュエル帝国に知れています。あまりにもロベルト皇太子達の横暴が続けば、彼を旗印に反旗を翻す事を考えていると思われます。」


フォルダン公爵が、


「確かにニゲル帝国のネリウスの元へ亡命したフェデリック第四皇子より、ファルナード第三皇子の方が旗印にふさわしいだろうな。」


ディオン皇太子は考え込むように。


「とてもじゃないが、ファルナードはジュエル帝国のロベルト皇太子を相手に、戦える精神状態ではないぞ。」


外交官テリアスは、


「もし、政変にて、国が二分するようになれば、ジュエル帝国内は混乱する事は間違いないでしょう。ロベルト皇太子派が勝てば、かなり横暴な悪政が行われるのではないかと、

宰相リュカルドの政治手腕で大分、悪政になるのを抑え込んでいた節がありますので。」


ディオン皇太子は断言した。


「我が国の方針として俺の意見は、宰相リュカルドが反旗を翻した場合、彼を支持しようと思う。父上。父上はどう思われます?」


国王陛下は、頷いて。


「ディオンの言う通り、ロベルト皇太子派は、皇宮で、贅沢三昧を繰り返し、

外では無礼を働いたと難癖をつけて斬り殺す事も珍しくないと言う。罪なき者が公開処刑されたという報告も上がっているぞ。私も宰相リュカルド派を支持したいと思うが…。」


ユリシーズが疑問を投げかける。


「ジュエル帝国の皇帝はどうしているのですか?」


テリアス外交官は、


「皇帝も皇妃も、ロベルト皇太子の言いなりです。実権はありません。」


国王陛下は皆に向かって。


「この件に対する詳細は、別途会議を設けて、詳細を決めたいと思う。ニゲル帝国以降は、

報告書に皆、目を通しておいてくれ。

では…次の報告。ローゼン騎士団長。」


「はい。先週の貴族階級の犯罪は、ウリーヌ伯爵家の令息、トール・ウリーヌ、20歳が、暴行事件をビルド・セシアス伯爵令息に対して起こし、裁判を控えて法務へ拘留中。

ビルドの怪我は全治2週間、自宅にて療養中です。続いて…」


ローゼンも報告を続けていく。


他の部署の報告を終えて、相談局の代表の報告も終え、

ユリシーズの番が来た。


「相談局で働いています、勇者ユリシーズです。

俺が気になったのは、相談というか、事故の件なんですが、ディオン皇太子殿下の銅像が立ってから、子供の怪我人が3名出ています。台座によじ登った子供が転落してしまうようで。今、銅像の周りに綱を張って入れないように、王都中央広場の管理人がしているらしいんですが…。」


ディオン皇太子は不機嫌に。


「俺の銅像の痣に触るとご利益が出るだなんて言ったスーティリアが悪い。

このままお触り禁止にすればいいんじゃないか?」


アイルノーツ公爵がニヤリと笑って。


「皇太子殿下の痣はセシリア様と愛人専用ですからねぇ…」


ディオン皇太子は、チラリとアイルノーツ公爵を睨みつけて。


「男の愛人がいて何が悪い。ともかくだ。お触り禁止、立ち入り禁止の縄だけでなく、柵を作れ。それでこの件は解決だ。」


ユリシーズが立ち上がって。


「俺は反対です。中央広場には最近、露店が立ち並び、皇太子殿下の痣のご利益にちなんで、

色々な物が売っています。黒百合の痣を模したお守りとか、聖剣の形をしたお守りとか。

国民がせっかく皇太子殿下の痣に触れて、喜んでいるんです。柵を作る事は反対です。

いっそのこと、階段を作ったらどうでしょう。」


「階段か???」


「前後に階段を作って登れるようにすれば…」


フォルダン公爵が意見を言う。


「見栄えが悪くなるのではないか?階段を作ったとしても、痣を触りたいが為に行列をなしているのだろう?危なくはないのか?転がり落ちる輩が出ると思うが。」


アイルノーツ公爵が笑って。


「それならば、台座を取ってしまえばよいのでは?」


国王陛下が立ち上がり。


「ディオンの銅像は、柵を作ってお触り禁止にする。ただし…代わりに高さ、幅、3mに渡る胸像を作ればよい。胸像ならば、子供でも手が届くだろう。」


「俺の胸像ですか?父上。」


国王陛下は、ディオン皇太子を無視して、


「私の案に賛成の者、挙手を…」


ディオン皇太子以外の全員が手を挙げた。


「全員賛成だな。ハルクにさっそく発注する事とする。国政会議はこれにて、終わりだ。」


国王陛下はフォルダン公爵に、


「胸像に乳首はつけた方がよいか?シュリッジ。」


「皇太子殿下にお聞きになったら如何です?」


「卑猥な物をつけないで下さい。あああ、頭が痛い。」


ローゼンがディオン皇太子に、


「観光名所として、いい収入源になるでしょうし、良かったのではないですか?

物を売って生活している者もいるのです。そういう者達が助かるのでは…」


「そりゃ、そうだが…3m大の、俺の像か…」



ユリシーズはほっとしていた。

これで子供の怪我人が出る事はなくなるだろう。

ローゼンの言う通り、物を売って生きている人達も、助ける事が出来る。

王宮を出で中央広場へ向かう。


時間が余ったので、今日も相談窓口に座って、国民の要望を聞くことにしよう。

そう思って歩いていると、声をかけられた。


「勇者ユリシーズか?」


14~15歳位の少年を背負った、黒髪を襟足まで伸ばした、美しい男に声をかけられた。


「ええ、ユリシーズですが…」


「ほら、ポラス。ユリシーズだぞ。握手して貰え。」


少年は青白い顔をして、瞼を開け、ユリシーズを見つめた。

嬉しそうに微笑んで。


「ああ、勇者様だ。握手してくれませんか。」


男の背に背負われたまま、ポラスと呼ばれた少年は手を伸ばす。


「うん。いいよ。」


ユリシーズは少年の手を握る。ぞっとする程、冷たかった。


「嬉しいな。有難う。ユリシーズ。俺もユリシーズみたいな勇者になりたかったな。」


ユリシーズはポラスに向かって優しく。


「これから目指せばいい。頑張ればなれるから。」


ポラスは寂し気に笑って。


ポラスを背負った青年は、頭を下げて、


「それでは、ポラスに色々と見せてやりたいので。」


ユリシーズは思わず青年に向かって。


「良ければ案内しましょうか?俺、この辺、詳しいですし…。」


「案内してくれるとは…。俺の名はアレスゾディアス。通称アレスだ。助かる。」

怪しげな二人の、アレスゾディアスと、ポラスを王都内を案内する事になってしまった。


ユリシーズはアレスと並んで歩く。

背に背負われたポラスは、ユリシーズに向かって、瞼を瞑ったまま。


「ユリシーズ…。俺…。魔王を倒すために村を出たんだけど、魔王に出会う前に殺されちゃったんだ。」


「え???」


どういうことだ?


アレスは何も言わず、ポラスを背負ったまま黙々と歩いている。

ポラスは言葉を続けて、


「俺のいた国は小さな国だったけど、俺、国の中の事も何も知らなくて。

ユリシーズ物語に出て来たユリシーズに憧れて、大人たちの上手い口車に乗せられて、村を追い出された。両親もいなかった俺って、厄介者だったんだ。多分…。

岩に差し込んであった偽物の剣をわざと抜かせて、勇者だっておだてられて、

深い森の中に入って、魔物に殺された。

死んでも、俺、どうしたらいいか解らなくて、彷徨っていたんだ。

アレスに拾って貰わなかったら、ずっと森を彷徨っていたかもしれない。」


ポラスの言葉に、アレスはユリシーズに、


「ポラスはイーナ国の勇者になるはずだった。イーナ国はニゲル帝国の傍にある小国だ。

ちなみに、俺は第10魔国の魔王だ。だが、第10魔国はイーナ国の下にある魔国で、やはり小さくてね。ポラスが倒すと人間に吹き込まれた魔王は俺のはずなんだが…。

最近、倒された黒竜魔王のような悪質な魔王でない限りは、倒される対象ではないだろう?

俺は地上に屋敷を持っていて、農園を経営して、人間達とも上手くやっていたはずだが。ポラスの村とは離れた所で暮らしてはいたがな。」


「何で、ポラスを拾って、マディニア王国へきたんですか?」


ユリシーズの問いに、アレスは。


「偶然見つけてね。ポラスがいた森には、魔物がいて、その魔物から取れるエキスは、良い薬になるんだ。それを狩に来たら、ポラスに出会った。

死霊だってすぐに解ったが、ただの死霊では無かったからな。

話をしているうちに、かわいそうになって、連れ出してしまった。

色々と見せてやりたい。そう思えたから、ここまで旅をしてきたんだ。」


「ねぇ、アレス。アイスクリームが食べたい。」


「暑いな。アイスクリームを食べようか。」


ユリシーズがカフェを指さして、


「あそこで一休みしましょう。」


カフェのテラスで、ユリシーズとポラスはパフェを、アレスはアイスコーヒーを注文する。


アイスクリームに、パイナップルやバナナ、リンゴ等が飾り付けられて、プリンも添えられている。

ポラスは嬉しそうに微笑んで食べ始めた。


ユリシーズもパフェを食べながら。


「ポラスは食事が出来るんですね。俺の知っている死霊は、骸骨で、鎧に覆われていて、食事も魔法を使わないと出来なかったような…」


「勇者の魂は特別だからな。魔法を使わなくても、人の姿を形作る事が出来るし、簡単な魔法を使うだけで、人と変わらない事も出来る。なるべく、必要以外は魔法は使わないようにしているが、ポラスの身体に負担がかかるからな。」


ポラスはユリシーズの手に触れて。


「今は、俺の手、温かいでしょう?」


「うん。とても温かい。死霊だって解らない位だ。」


ふと、ポラスを見て、何かを思い出した。


「もしかして、あの聖剣、銅色の…ポラスの聖剣かもしれない。」


「聖剣?」


「ポラスの髪色も瞳の色も、琥珀色ですよね。雰囲気も何だか似ているような気がするんだ。あの聖剣に…。ディオン皇太子殿下に会いませんか?聖剣を見せて貰いましょう。」


アレスはポラスに尋ねる。


「聖剣、見たいか?」


「見たい。有難う。ユリシーズ、見せて下さい。俺の聖剣だったらいいな。」




その頃、王宮のディオン皇太子の寝室の隣にある居間で、騒ぎが起きていた。


長い黒髪で頭に桃色の簪をつけ、鮮やかな桃色の着物を着た女が、

桃色の聖剣を手に立っていた。


「見つけたわ。夢でお告げがあった私の聖剣…。そして、あれが勇者アクストの聖剣ね。

今度こそ、決着をつける。勇者アクスト。どこにいるのかしら。まだ、どこかで眠っているのね。」


ディオン皇太子が、扉を開けて飛び込んで来た。


「お前は何者だ?」


自らの緑色の聖剣を構える。


女はちらりとディオン皇太子を見やり、


「あら、貴方も勇者なのね…。私は戦士サクラ。勇者じゃないけど、勇者アクストの最大のライバルよ。相手をしてあげてもいいけど、この王宮が吹っ飛ぶけど構わない?」


「吹っ飛ばされるのは困る。」


その時、声をかける者がいた。


「久しぶりじゃの。ディオン。そしてお前がサクラか。」


二人の前に、神イルグが現れた。

ディオン皇太子は不機嫌に。


「俺に、聖剣をまた、押し付けやがって、どういうつもりだ?」


「あら、貴方は今の神様?私は300年ぶりに目覚めて機嫌が悪いの。早く勇者アクストの居場所を教えて。」


イルグは二人を手で制して、


「今回の聖剣の持ち主の魂を救って欲しい。」


サクラの方を見て、


「お前さんはそのオマケじゃ。」


「オマケって何よ。」


ディオン皇太子は呆れて、


「オマケだの補欠だの、本当に好きだな。イルグ。」


「フォフォフォ。まぁよいではないか。

3人の勇者は、それぞれ気の毒でな。

始まりの勇者アクストは、戦いに明け暮れ、強さを極めたが、人間らしい幸せに恵まれなかった。そこのオマケ。アクストに出会ったら、人間らしい幸せを与えてやってほしい。」


サクラは聖剣を手にしながらも、赤くなり、


「なんで私がっ…アクストとはそんな関係じゃないし、私に聖剣を与える必要ってあった訳??」


イルグは続けて説明する。


「勇者マルディス。 魔王ネリウスに犯し殺された気の毒な死霊じゃ。今はネリウスがニゲル帝国の勇者になっとる。ワシが無理やり、任命したがのう。マルディスの魂を救ってやって欲しい。」


「何やらかしているんだ。ネリウス。黒竜魔王の討伐の働きが見事だったから、少しは見直したが、一気に、軽蔑に変わったぞ。いや、戻ったと言った方がいいか。今度、見かけたら即、殴り飛ばしてやろう。」


ディオン皇太子の言葉に、イルグは頷いて。


「そして、勇者になるはずだった、イーナ王国の勇者ポラス。森の中で魔物に殺されて、こいつも死霊になっておる。」


その時、使用人が、ディオン皇太子に向かって。


「ユリシーズ様が訪ねてきています。勇者を連れてきているので、聖剣を見せて欲しいとか。」


イルグはディオン皇太子に向かって。


「さっそく、勇者が一人、見つかったようじゃの。それじゃ後頼むわー。本当にディオンは有能でワシ、助かる。」


「おいっ。こらっ…」


イルグは部屋を出て行ってしまった。


ディオン皇太子は使用人に、


「ユリシーズと連れて来たという勇者をこちらに案内してくれ。

サクラ、勇者アクストはジュエル帝国の神殿に死体として安置されている。

ジュエル帝国から盗み出さないと、手に入らないぞ。」


「神殿ね…。やっかいな罠とかあったりするんだよねーー。神殿って。

貴方、アクストを盗み出すの協力してくれるんでしょうねー。アクストの聖剣を持っているんだから。」


「勿論だ。アクストは盗み出すが、後のイルグが言っていた人間らしい幸せはお前に任せるぞ。」


「だから、私はアクストとはそんな関係じゃないっ…。ライバル関係なんだけれどな。」


ユリシーズが、アレスに背負われたポラスと一緒に入ってきた。


ディオン皇太子はポラスを見て、


「この子は…」


「勇者ポラスで、こちらは第10魔国魔王、アレスゾディアス。」


アレスはディオン皇太子に向かって。


「貴方が破天荒の勇者ディオン…勇名はイーナ国でも第10魔国でも轟いております。」


「第10魔国の魔王が何故、ポラスを?」


「森で彷徨っていたのを拾ってしまったので…俺が殺したわけでも無いのですが、彷徨っているのをほっておくのは可哀想でしょう?」


ポラスは瞼を開けて、


「アレスは俺を助けてくれたんだ。ああ、破天荒の勇者にも会えるなんて、光栄です。」


アレスはポラスを床に降ろす。


ディオン皇太子は銅の聖剣を、ポラスに差し出して。


「これは多分、お前の聖剣だ。」


ポラスが受け取れば、聖剣とポラスの身体が、輝いて。


「ああ、力が湧いてくる。この聖剣、俺のなんだね。」


アレスがポラスの肩を優しく叩いて。


「良かったな。聖剣が貰えて。」


「有難う。アレスのお陰だよ。それから、ディオン皇太子殿下とユリシーズのお陰…」



ユリシーズは安堵したように、


「これで一人見つかりましたね。ディオン皇太子殿下。」


「ああ、もう一人見つかったぞ。勇者じゃないが・・。」


サクラが桃色の聖剣を翳して。


「私はサクラ。私がこの聖剣の持ち主よ。勇者アクストを探していたんだけど、

ジュエル帝国の神殿にいるみたいね。」


ディオン皇太子は頭を抱えるように、


「やる事が山積みだな。ジュエル帝国から、勇者アクストを盗み出す事、

政変が起きたらそれの対処もしないとならない。

ニゲル帝国で、もうじき、リーナ皇女から、ユフレ街の大掃除の件について言ってくるだろう。助けると言ってしまったからな。

後、ネリウスに会って勇者マルディスについて話を聞かないとならない。

さて、どうしようか…。」


ちらりと聖剣を持つポラスを見て、


「まずは出来る事からだ。勇者の魂を救う事だな。

ポラス。お前はどうしたい?」


「強くなりたい。俺、勇者になれなかったから…勇者になりたい。」


ユリシーズが、ディオン皇太子に。


「俺が面倒を見てあげていいですか?」


「ああ、そうして貰えると、ユリシーズの元ならば、強くなれるだろう。

アレスはどうする?」


ポラスがアレスに抱き着く。


「いなくならないで。いなくなったら俺、寂しいから。」


「仕方がない。しばらくポラスの傍に居よう。死霊でも聖剣があれば、人間とは変わらない生活が出来る。魔法は必要なくなるが。」


ポラスと、アレスゾディアスは、フォルダン公爵家で預かる事になった。

そして、サクラは、王宮の客室に滞在する事になった。


こういう時に、愛人のルディーンがいれば、と思うディオン皇太子であるが、

いや、もう半月経っているはずだ。クロードをとっ捕まえて、籠っている工房へ転移し、様子を見に行こうと強く決意を固めるのであった。


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