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タイヤ

作者: 海堂直也

星新一さんが好きです。

 それは特にメンテナンスというものは無く、異常がないか点検するくらいである。 不具合・異常が発見された場合は、新しい物と交換。快適かつ円滑な道は、それが正しく唯一の方法である事は周知の事実。


 「お疲れ様です。」


 少し汚れた仕事着で男は帰ってきた。


 「お?意外と早かったな。」


 迎え入れた男は無表情だ。

 

 報告書のやりとりは馴れたもの。最早やっつけ仕事とも言える程。担当エリア外の仕事は本来引き継ぎが面倒であるが、今回はあっさり片付いた。近頃は良くも悪くもなんでもかんでも、永く使う事を美徳にするので、大概はリペア・経過観察・定期訪問など、過密なスケジュール調整こそが仕事と思えてしまう。本来は悪くなる前に交換し、効率的かつ効果的なリサイクルが理想なのだが。

 

「今回ぐらい分かり易いと、話が早くてたすかりますよ。」


 仕事着の男は握った拳を顔の前でパッと開く。


 「バーストで全交換。上も納得だ、此方もやり易いよ。」


 無表情の男は少し口角が上がる。


 「しかしまぁ、治せば使えるってのは分かるんですけどね。」


 「擦り切れてボロボロになるまでが主流だからな。」


 「昔みたいにマメに交換した方が良いと思うんですけどね。」


 「だから皆、頭を抱えているんだろ。」


 「やりづらくなりましたね。」


 「死神なんて、いつの時代もやり易くは無いよ。」 


 そう言うと無表情の男は仕事の礼も兼ねて、仕事着の男を酒に誘う。誘われた方は満面の笑みで応える。


 「流石は閻魔様!御馳走なります!」

 「俺達も魂のメンテナンスはしないとな。」



       ➖おわり➖

説明不足な作品かもしれませんが、そこは皆様の想像力をお借りします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 中止になったコミカライズ企画からです。 再読です。 これが初期作品だったのですね! いやー、うらやましい。 私の初期なんて目にも当てれぬ黒歴史ですよ。 星先生のショートショートのように、…
[良い点] 「隕石阻止企画」から拝読させていただきました。 死神さんも激務で魂が擦りきれてボロボロになっちゃうんじゃあ。
[一言] 隕石阻止企画から参りました、アカシック・テンプレートです! 本作はタイトル通りな作品なのかな~、と思っていたら、まさかの思わぬオチで驚かされました! 作中のやり取りは、さながら現代社会を…
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