第3話[裏切り]
華の遺体を前に可奈が朱音に話しかける。
「あなたは一体何がしたいの」
「時間を指定し私を呼び出して、仲間を裏切り私を助けた」
「正直、意味が分からない」
「そう?」
「そんな意味が分からない行動をとったつもりはないのだけど……」
「まあ、いいわ」
「これから話せばいい事だもの」
そう言うと朱音は話し始めた。
何故、真奈と行動を共にするのかを……。
「いつもの様に魔獣を狩っていたらいきなり魔法少女が四人も現れ私にこう言ったの」
「人を殺すのは止めてってね」
「そんな状況で断れると思う?」
断れば四人の魔法少女に殺されるかも知れない。
だから真奈の仲間に入るしか無かった。
それでも、魔法を使い妖精達の力を借りて魔獣を……、いや、悪人を逮捕できたりするのならと思って一緒に行動していたのだが……。
「アリスちゃん、狂美ちゃんを殺して」
真奈は自分達の意にそぐわない魔法少女を消す事に決めた。
狂美に負け、死んだアリス。
真奈はその事を知ると今度は私達にこう命じたの。
「華ちゃん、朱音ちゃん」
「狂美ちゃんを殺して」
「二人ならできるよね?」
その話しを聞いても可奈は何も感じなかった。
あるのはただ一つの疑問。
「別に私を呼ばなくても良かったんじゃない?」
「狂美を殺した後に華を殺せば良かったじゃない」
「そしたら私一人で真奈達と戦わなければいけないじゃない」
「狂美を殺さず華を殺しても狂美は協力してくれそうに無かったし」
「私が真奈達と戦うとでも?」
「あなたは戦うわ」
「だってあなたは誰よりも優しく正義感が強いんだもの」
「それに私も動物は好きだしね」
そう言って帰る朱音の背中を見つめ可奈は戸惑っていた。
途中から彼女の言葉の色をリリに見てもらっていたが彼女は嘘をついている。
真奈はそんな事を言っていない。
なら狂美を殺したのは何故?
華も私を殺そうとして来た。
真奈が本当に意にそぐわない魔法少女を排除しようとしているのなら、華が狂美を殺したのも、私に向かって来たのも頷ける。
それに彼女の最後の言葉。
あれは本当だった。
リリに言葉の色を確認して貰わなくても分かる。
彼女は動物が大好きなんだ。
「どうするの?」
「真奈と戦うの?」
「そうね、彼女の言葉を信じてみようと思う」
こうして私は真奈と戦う事を決意をした。




