第2話[朱音]
そんな時だった。
「人を殺すなとか言っておいて自分達は人を殺すのね」
「それとも何?」
「自分達の意にそぐわない者達は魔獣って事で殺すのかしら?」
そう言って可奈が現れた。
「違う、コイツはアリスを殺したから」
「だから……」
「なるほど、身内が殺されたからその仕返しにね」
「それがあなた達全員が決めた答えなのね」
「その割には真奈と桃香が見当たらないけど、まさか二人は来ていないの?」
私の額から冷汗が流れ落ちる。
二人はこの事を知らない。
もしこのまま彼女を返してしまえば、いずれは二人にこの事が……。
「なら殺せばいいよ」
朱音が私の耳元でそう囁く。
殺す?
可奈を?
「二人にバレたくないんでしょ?」
「なら殺そうよ」
「私と一緒に彼女を殺そう」
「そしてまたいつもの日常をおくるの」
「何事も無かった様にね」
そうだね。
朱音の言う通りだ。
コイツを殺そう。
そしていつもの日常をおくるんだ。
私は武器を手にして可奈に襲いかかった。
可奈も武器を持ち互いに戦い合う。
そんな時、足に突き抜ける痛みを感じ私は振り返った。
そして信じられない光景を目の当たりにした。
「マジカルハンドガン」
朱音、間違えだよね?
私じゃなく可奈を狙ってたのよね?
背後から突き刺さる剣。
口から血を吐き出しながらも私は朱音を見つめていた。
「あか……ね」
「ど……ぢで」
どうして笑っているの?
私達、仲間でしょ?
私達、友達でしょ?
朱音、どうして……。
薄れ行く意識の中で私の頬に涙が伝うのを感じた。




