第2話[朱音]
それから私達は真奈ちゃんや桃香に隠れて狂美を捜す日々が続いた。
そして……。
「やっと見つけた」
「あっ?」
「誰だテメーら?」
コイツ、私達を覚えてない。
アリスを殺しておいて、朱音まで苦しめて、真奈ちゃんにまで嫌な事をして、私達を覚えていないだなんて、そんなの許せない。
パートナーの妖精の助言で私達の事を思い出したのか、彼女は私達を馬鹿にした様に笑う。
「何だ、あの時逃げた雑魚共か」
その言葉を聞いて華はそこら辺の石を魔法で剣に変え、狂美に向かって真っ直ぐ突っ込んでいく。
そんな時だった。
華の目の前にハル達が現れた。
「なっ……、そんな……」
ハル達に向かって剣を振るう。
だが、まるで空気を斬っている感触で、まるで手答えが無い。
そんな、コイツら幽霊だっていうの……。
どうしてこんな時に現れるの……。
ハル達の幻覚を見て、華は怯え膝をつく。
「へぇ、コレがあなたの幻覚魔法なの」
「華ったら怯えて可哀想」
「でも残念ね」
「私も一度、幻覚とやらを見てみたかったわ」
クスクスと笑う朱音を見て狂美は戸惑っていた。
「なっ、魔法がかかっていないだと?」
「フフフ、魔法がかかっていないんじゃなくて、私に後ろめたい過去が無いの」
「例え人を殺していたとしても、華の様に悩んだり苦しんだりはしないわ」
「まあ、可哀想だとは思うけどね」
さてと、そろそろ華を起こさないとだね。
「華、気をしっかり持つの」
「大丈夫、あなたには私がついているわ」
そう言って私は華を抱きしめた。
あなたには狂美を殺して貰わないといけないからね。
「朱音……」
朱音の声が聞こえてくる。
朱音の温もりを感じ、私は気を強く持つ。
そうだ。
私には朱音がついている。
朱音の為にも頑張らないといけない。
ハル達に怯えていてはいけないんだ。
そう思う事で目の前に居たハル達の姿が消えた。
「やった」
「やったよ朱音……」
「あかね?」
生暖かい朱音の血液が私の顔に落ちていく。
何が起きているのか数秒間、理解できないでいた。
「華、えへへ、どうやら撃たれちゃったみたい」
「朱音、そんな……、大丈夫なの?」
「大丈夫、パートナーの妖精に傷を治して貰うわ」
「だからお願い、その間に狂美を殺して?」
私は強く頷き、剣を持ち、立ち上がった。
真っ直ぐ狂美に向かって走っていく。
何発か発砲してきても、私はそれらを剣で弾き返した。
そして、彼女の胸をめがけ剣を突き刺していく。
コイツだけは絶対に許さない。
そう憎しみの感情に支配されながら、私は狂美に向かって何度も剣を突き刺した。




