最終話[正義]
桃香との戦闘でアリスは自分の魔力が上がっている事に気づく。
真奈が力を貸してくれている。
そう思う事でアリスは魔力に支配される事無く桃香を圧倒していく。
アリスの剣が桃香の心臓を貫く。
桃香は吐血し、アリスはゆっくりと桃香に突き刺さった剣を抜く。
「桃香」
そう叫び、モモは桃香の顔を抱きしめる。
モモが消え、視界がボヤけ、意識が遠のく中、桃香は「ただ愛されたかっただけなのに……」そう呟いて、涙を流しながらこの世を去った。
真奈が死に、華と可奈が死んだ。
狂美と桃香を殺して、残すは後二人。
「確認ですけど、魔法少女は後二人でいいんですわよね?」
頷くツツを見て、アリスは考える。
真奈はイレギュラーだとツツは言いますが、果たして本当にそうなのだろうか?
ツツが知らないだけで他にも魔法少女が居るのでは?
まあ、考えた所で仕方ありませんわね。
もし、居たのなら殺せば済む事ですし。
右手を見つめ、微笑むアリス。
また魔力が上がっているのを感じる。
まるで真奈がもっと殺せと言っているかの様に……。
でも、真奈はそんな事は言わない。
恐らく、私の考えを共有し、彼女は傷つきながら力を貸してくれているのだろう。
そんな事を考えながらアリスは自分の胸に手を置き呟いた。
「真奈、後二人ですの、それまで我慢して下さいませ」
そう念じて、アリスはベッドに横になり、眠りにつく。
数日が経ち、アリスは愛歌を殺し、静かな公園内で一人呟く。
「後一人ですわ」
今の自分に敵は居ない。
そう思っているアリスの元に、最後の魔法少女が姿を現した。
「まさか一日で二人と遭遇するとは、これも真奈のお陰なのかしら?」
そう言って笑うアリス。
そんなアリスの体に付着している愛歌の返り血を見て、最後の魔法少女は興奮し息を荒げた。
「ああ、その血……、つい先程まで愛歌の体内に流れていた血……」
「一途に人を愛し、報われる事無く死んでしまうなんて……」
最後の魔法少女は愛歌の遺体に近づき、感情を込めて愛歌に言葉を贈る。
「可哀想」
そう言って愛歌の顔をハンカチで綺麗にし、ゆっくりと立ち上がると彼女はアリスの方へ振り返った。
「初めましてアリス」
「奈緒香に殺人の権利を与えた魔法少女だよ」
悪びれる事の無い笑顔。
アリスは瞬時に動き、彼女を殺そうとする。
だけど……。
「いきなり攻撃して来る何て、お嬢様の作法は無粋……、なんだね」
自分の攻撃を交わしながらも余裕のある彼女に、アリスは驚きながらも眉間にシワを寄せ、彼女を睨んだ。
「何故ですの?」
「何故、真奈を……」
アリスの瞳から涙が溢れ落ちていく、それでもアリスは彼女を睨むのをやめなかった。
彼女が憎い。
彼女が奈緒香にあんな権利を与えたなければ、真奈は死ぬ事は無かったのに……。




