最終話[正義]
「やっと見つけたぜ」
魔法少女に変身した狂美。
まだ少女とはいえ、モデルガンを所持している彼女に職員が対応しようとしたその瞬間、狂美は足元目掛け弾を撃ち込んだ。
地面にめり込む弾を見て、職員は子供達を室内に避難させようと走る。
他の職員に警察へ連絡する様叫ぶ中、アリスは魔法少女に変身した。
「ここは子供達も居ますわ」
「何処か別の場所へ」
アリスのその提案に狂美は笑う。
「知らねーよ、そんなもん」
「寧ろ好都合だ」
狂美はそう言うとモデルガンを向けた。
自分とは別の方向に向けられた銃口。
その先には、逃げ遅れた子供と優衣が居た。
「なっ……」
子供を庇う様に抱きしめる優衣。
そんな優衣に対し、狂美は容赦なく弾を発射させた。
「くっ……」
剣を魔法で作り、弾をはじくアリス。
そして、アリスは剣を狂美に向けた。
そんなアリスに狂美は言う。
「これで分かっただろ」
「弱者は悪だと」
「それともその弱者を守りながら私と戦うつもりか?」
「それで私に勝てるとでも?」
確かに狂美の言う通りだ。
優衣を守りながらでは彼女に勝てないかも知れない。
それでも、彼女を死なせたくは……。
(いや、違いますわね)
(もう、誰も死なせたくは無い……、ですわね)
そう思い、アリスは真奈に力を貸してと願う。
そしてアリスは気付く、いつもと魔力の感じ方が違うと……。
(真奈、真奈なの?)
(あなたが私に力を貸してくれるというの?)
真奈に抱きしめられているかの感覚。
アリスは目を見開き、狂美を倒すべく走り出した。
体が軽い様な感じがする。
狂美の弾の動きが分かる。
真奈、あなたのお陰で優衣を守れますわ。
あなたが側に居るだけで私、頑張れますの。
アリスは狂美のモデルガンを剣で斬る、そしてそのまま狂美の腹部を切り裂いた。
お腹を両手で抱え膝をつく狂美をアリスは見下ろしながら、華を殺したかどうかを尋ねた。
すると狂美は大きな口を開け笑いながら「殺した」と答えた。
笑う度に傷口が開き、血が飛び散る。
それでも狂美は笑うのをやめない。
その笑い声が不快でアリスの神経を逆撫でする。
「そうだ」
「あいつも殺したよ」
「前に割って入った奴、名前はなんだっけ?」
「弱過ぎて忘れちまったなぁ」
歯を食いしばり眉間にシワを寄せ、そしてアリスは剣を狂美の胸に突き刺した。
何かを呟きながら倒れる狂美。
目からは涙が一粒流れ頬を伝い地面に落ちていく。
全てが終わりましたわ。
真奈のお陰で皆んなを守れたんですのね。
胸に両手を置き、目を閉じる。
(ああ、やっぱり真奈を感じますわ)
真奈にお礼を言い、そして優衣に向かって笑顔で振り返る。
すると……。




