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第4話[逃避]

それから数日が経ったある日の事。

真奈の表情は暗く、私は堪らず、どうしてそんな表情をしているのか尋ねた。

すると、彼女はこう答えた。


「アリスちゃんが、誰とも仲良くしようとしないから。」


誰ともって、お父様や新しい世話係の事を言っているのだろうか?

だとしたら当然の事ですわ。

あの二人はあの日、何があったのか知らない。

だから、私の気持ち何て理解できないのだ。


「真奈、あなただって奈緒香が憎いでしょ?」

「私だって、大切な人を奪った奈緒香が憎いわ。」

「だから…」


真奈は悲しげな表情で首を横に振った。


「私は誰も憎んでいないよ。」


誰も憎んでいない…。

そんなの嘘ですわ。

あんな酷い目に遭わされたのに、誰も憎んでいないだなんて…。


「それより、アリスちゃんがそんな顔をしている方が私は悲しいよ。」


「そんな顔って…、フフフ、そんな顔にもなりますわよ。」

「私は真奈が大好きなんですのよ。」

「そんな人がこの世から居なくなって、どうして笑っていられますの。」


真奈が私の手を握ってくれる。

夢なのに、その手は温かく現実に生きてる様に感じた。


「私もアリスちゃんが大好きだよ。」

「私を理解して、私と一緒に魔法少女の説得もしてくれた。」

「アリスちゃんは優しく、一緒に居て楽しいし、もっと一緒に居たかった。」


涙を堪えているのだろうか。

真奈はしばらく喋るのを止め、代わりに握られた私の手に、真奈の涙が落ちていく。


「そんな大好きなアリスちゃんには笑って居て欲しいよ。」


真奈…、大好きな人に笑って居て欲しいか…。

もう、立ち直らないと駄目みたいですのね。

私も大好きな真奈には笑って居て欲しいですもの。

涙を流しながら目を覚ます。

いつもの事だけど、今日は違う。

新しい日々をこれから送らなくてはいけないのだから。

まず初めに心配そうに近寄るツツに、アリスは笑顔を向ける。

そして、起こしに来た優衣を部屋へ招き入れた。

アリスに受け入れて貰った事が嬉しかったのか優衣は笑顔でアリスに話しかける。

しばらく優衣と会話をし、学校へ行くかどうか尋ねられ、アリスはしばらく学校を休む事を伝え、出かける準備をする。


「お嬢様、お出かけなら私もご一緒します。」


「いや、いいわ。」

「これから大切な友人と会うの、だから悪いけど着いて来ないで。」


そう、これから私は華の家に向かう。

彼女に真奈の死を知らせなくてはならない。

一応連絡はしたんだけど何故か繋がらないし、直で家に向かうしかありませんわね。

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