第3話[悪意]
隠し持っていたナイフと一緒に…。
奈緒香の腹部にナイフが突き刺さる。
奈緒香の口から吐き出された血液が髪から滴り落ち、首筋から伝いカーペットにポタポタと落ちていく。
「お嬢様、どうして?」
「気持ち悪いのよ。」
ナイフを手に奈緒香を見下ろすアリス。
冷酷な眼差し、自分に向けられた敵意。
それらを感じ、奈緒香は笑い始めた。
流石です。
普段は天使の様に神々しいのに、今は悪魔の様にダークで、それでいて魂を握られているかの様に心が奪われてしまう。
「ああ、お嬢様は完璧です。」
「私はそんなアリスお嬢様を愛して…。」
「私はあんた何か嫌いよ。」
「家畜以下のゴミが。」
絶望的な表情を浮かべる奈緒香の胸にアリスはナイフを何度も突き刺した。
「死ね、死ね、死ねー。」
飛び散る奈緒香の血液それらを浴びる度、アリスは不快感を募らせていく。
まるでヘドロを浴びているかの様に…。
息を切らせながら、アリスは真奈に近寄って彼女の唇にキスをした。
痛かったでしょう。
苦しかったでしょう。
「ごめんね真奈、助けてあげられなくてごめん。」
真奈の顔にアリスの涙が落ちていく。
大切で大好きな人の死。
それを前にしてアリスの心は壊れていった。




