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第3話[悪意]

玄関にワープしたアリスは急いで真奈を捜しに向かう。

広いお屋敷に無駄に数の多い部屋。

真奈は一体何処に居るのだろうか?

家中を走り回るアリスだが、何か物音が聞こえ、足を止めた。


(誰かの声?)


アリスの視線の先にある第三リビング。

ここは普段、映画鑑賞とかに使われている部屋だ。

誰か居る。

そう確信したアリスは勢いよく扉を開けようとする。

だが、鍵が掛かっていてビクともしない。


「私に任せて。」


ツツの魔法でドアの鍵を解除する。

そして、勢いよくドアを開けた先には、グッタリと横たわる真奈とゲラゲラとおぞましく笑う奈緒香の姿があった。


「真奈。」


薄暗い室内に響き渡るアリスの声。

その声と同時に真奈の元へ駆け寄ろうとするアリス。

そんなアリスの前で、奈緒香は真奈の顔を踏みつけた。


「お嬢様、もう手遅れです。」


奈緒香の不快な笑い声を耳にしながら、アリスは言いようの無い程の殺意に体が支配されていた。


「今すぐその汚い足を退けなさい。」


「汚い?」

「御冗談を、汚いのはこの泥棒猫、いや野良猫?」

「いや、豚かぁ。」

「そう、この雌豚の方です。」

「この汚い雌豚がアリスお嬢様のお美しいお体をベタベタと汚い手で触り汚してく。」


そう言いながら奈緒香は何度も何度も真奈の顔を踏みつけていく。


「貧しい家畜の様な庶民の癖に、ブヒブヒと下品に笑いながら、私のお嬢様の体を…。」

「お嬢様もお嬢様です。」

「アレだけ庶民に関わらない様に私が努力したというのに、このお屋敷にこんな豚を連れて来るなんて。」


アリスは「変身」と呟き、魔法少女に変身する。

そんなアリスを見て興奮する奈緒香。


「やはりお嬢様は特別だったのですね。」

「あの方と同じ魔法少女。」

「私に人を殺す権利を与えてくれた、あの魔法少女様と同じだったんですね。」


ゲラゲラと笑い奈緒香が歓喜する中、アリスはそこら辺にある物を剣に変え、奈緒香に向かって走った。

だが、怒りで単調なアリスの攻撃は交わしやすく、奈緒香に剣を奪われてしまう。

奈緒香は奪った剣を捨て、アリスに言う。


「フフフ、お分かりになられましたか?」

「お嬢様は魔法少女になられても弱いまま。」

「最初からお嬢様に悪を正す力など、ないんです。」


その言葉を聞き、アリスは床へヘタリ込む。

そんなアリスを奈緒香は愛おしそうに抱きしめた。


「お分かり下さい。」

「私にとって、悪を正す云々よりも、お嬢様のお美しいお体が他の小汚い豚共の手に触れられるのが堪らなく嫌なのです。」


そう言うと奈緒香はアリスの綺麗な髪を優しく撫で、息を荒げながら興奮していた。


「じゃあ、これからは奈緒香が真奈の変わりに私を受け入れて下さるの?」


「ええ、勿論です。」

「あんな豚より幸せにできます。」


「嬉しい。」


そう言うとアリスは奈緒香の胸へ飛び込んだ。



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