第3話[悪意]
それからアリスは毎夜、人助けを行いつつ、魔法少女達を捜し説得して回った。
誰からも理解を得られずに罵倒される日々。
それでも、真奈と一緒なら頑張れる。
辛くても、悲しくても、二人ならお互いを慰め合い、励まし合っていける。
そう思い、アリスは頑張ってきた。
そして…。
「くっ、あんた達もしつこいわね。」
「分かったわよ。」
「少しだけ、考えてあげるわよ。」
大きな溜め息を吐き、華が魔獣を狩るのを考え直してくれた。
真奈は喜び、華に抱きつく。
そんな真奈を見て、アリスの瞳に涙が溜まる。
良かった。
どんなに罵倒されようと、心をすり減らそうとも、真奈は今まで頑張ってきた。
そしてその頑張りが今、やっと報われた。
その事が嬉しくて嬉しくて、涙が止まらない。
「うげ、何泣いてんのさ。」
華が困惑している間に、真奈がアリスにハンカチを差し出した。
それを受け取り、涙を拭うアリス。
「頑張りが報われたんですもの、嬉しくて泣いちゃいますわ。」
「アリスちゃん。」
「私も泣くよ。」
アリスを抱きしめ、真奈までもが涙を流して泣き始めた。
呆れた表情をしながらも、頬をポリポリと掻きながら、華は照れくさそうに言う。
「あんた達がそんなに喜んじゃうとさ…。」
「考えたけど、やっぱ無理とか言えなくなるじゃん…。」
「だから、その…。」
言葉を詰まらせる華。
そんな華をアリスは抱きしめた。
「一緒に泣きましょう。」
「はあ?」
「何でそうなるのよ。」
続いて真奈も華を抱きしめる。
「一緒に泣こ?」
「いや、だから何でそうなる訳?」
「つか、泣けないし。」
こうして、アリスと真奈は一人の魔法少女の説得に成功したのだった。
その翌日。
ファミレスにて、アリスと真奈が華を呼んで、お祝いパーティーを開いた。
「記念すべき一人目の魔法少女華さん。」
「一言どうぞ。」
「いや、一言と言っても何を言っていいのやら。」
「つか、ここ本当にファミレス?」
「私、何だか場違いのような…。」
華は辺りをキョロキョロと見回しながら小声で喋る。
そんな華に真奈も共感していた。
「何言ってますの?」
「正真正銘、ただのファミレス、ですわ。」
いや、確かに親子連れとか居るけどさ。
何処のブランドか知らないけど、素人目でも分かる高そうな洋服やアクセサリー。
子供なんかも、スーツの様な制服を着ていて、大人しくて何処となく上品な感じがするし、更にはポテトフライ何か千円を超えているぼったくり価格。
そして水。
ファミレスで水が有料何て聞いた事が無い。
本当に此処はファミレスなのか?
華は戸惑いながら一杯二百円の水をグッと飲み干した。




