第2話[対立]
「えっ?」
「貴方に何を言われようとも私は魔獣狩りを止めるつもりはありませんわ。」
「そんな状況で話し合っても無意味でしょ?」
アリスの言葉に真奈は首を横に振る。
「無意味なんかじゃない。」
「無意味なんかじゃ…。」
「なら聞きますけど、私の意見を聞いて真奈は私と一緒に魔獣狩りをしてくださるんですの?」
黙る真奈を見て、アリスは笑う。
ほらご覧なさい。
初めから意見何て変えるつもり何て無い癖に、よくもまあ。
「真奈、これで分かったでしょ。」
「私を止めたいのなら力尽くで止めてみなさいな。」
「私に勝てたのなら、私は貴方の意見を聞き入れますわ。」
「だけどもし、私に勝てなければ、その時は真奈も一緒に…。」
そう言ってアリスは剣を構えた。
だが真奈は一向に戦おうとはしなかった。
チッ、イラつきますわね。
それならば…。
アリスは寸での所で剣を止め、真奈を挑発する。
「次は止めませんわ。」
それでも真奈は戦おうとはしなかった。
なら、これでどうですの。
アリスは真奈の腕を斬る。
剣に真奈の血液が付着し、アリスは宙を斬り、剣に付着した真奈の血液を地面に落とす。
「いい加減、理解したらどうですの?」
「次から本気でいきますわよ。」
「大怪我したく無かったら…。」
「いいよ。」
「大怪我してもいい。」
悲しげな表情を浮かべる真奈だが、その瞳は何処か強く。
そしてアリスを戸惑わせた。
「なっ…、何を馬鹿な…。」
「馬鹿はアリスちゃんの方だよ。」
「私がアリスちゃんと本気で戦うとでも?」
「そんな事、できる訳無いじゃない。」
「傷ついてもいい、大怪我を負ってもいい、死んでもいい。」
「大好きなアリスちゃんと戦わなくていいのならそれでいいよ。」
一歩、また一歩とアリスに歩み寄る。
その度にアリスは一歩、また一歩と後ろへと後ずさった。
どうしてですの。
どうして真奈が、あの時の私と重なるんですの。
奈緒香に言われて嫌だった筈なのに、私は…。
手に持っていた剣を落とし、アリスの頬を涙が伝う。
魔法少女の力を手にし、私は変わってしまったんですのね。
「悪を正す力はお有りで?」
頭の中で奈緒香の言葉が思い出される。
あれ程、嫌だった言葉を私は口にしていた。
それが正義だと信じ、私は力で全てを解決して来た。
「どうして…、ですの。」
「力何て関係ないって、どうして言わないんですの?」
あの時、真奈がかけてくれた言葉。
そして私を救ってくれた言葉。
そう言ってくだされば、私は自分の過ちに気付けたかも知れないのに…。
「それは…、アリスちゃんが傷つくかもと思って…。」
真奈…。
私を気遣ってくれていたのね。
アリスは真奈を抱きしめた。
「私も貴方に協力しますわ。」
「誰からも理解されないのは辛いですものね。」
今度は私の番ですわ。
私が真奈を元気付ける番。
「アリスちゃん。」
「えへへ、ありがとう。」
私の大好きな親友。
彼女の笑顔の為に頑張らないとですわね。




