第2話[対立]
だがアリスに追いつく事が出来ず、諦めて帰る事にする。
翌日、真奈からの着信を無視するアリス。
もう、真奈と会う事はない。
そう思い、彼女は真奈の連絡先を消去した。
「いいの?」
心配そうにアリスを見つめるツツ。
アリスはツツに笑顔を向け、真夜中のパトロールの為に昼寝をしようとベッドに潜り込んだ。
今の私には悪を正せる力がある。
もう、ゴミ拾いなんてしなくていいんですの。
そんな事より、私の力を欲している人達を、この力で救う事の方が大切ですわ。
そう、この力で…。
その日の晩。
いつもの様にパトロールをしていると、ツツが魔法少女の気配を感じ、その事をアリスに告げた。
真奈かも知れない。
そう思い、気づかれない様に気配を殺し、ツツの案内の元、魔法少女の気配が感じた場所まで移動する。
「お願いだから、もう人を殺すのは止めて。」
「人じゃない、魔獣よ。」
「第一、あなたに何が分かるって言うの?」
「イジメを受けた経験がある訳?」
「人が苦しむ様を見て、笑い楽しんで喜ぶ。」
「そんな奴の何処が人間だって言うのよ。」
華に睨まれながら、真奈は「人間だよ。」と答える。
その答えに逆上した華は真奈を思いっきり突き飛ばした。
あの地獄の様な苦しみを知らないから、そんな事が言えるんだ。
そう、この子は何も知らない。
だからこそ、この子の言葉は私に響かないし、一言一言が鼻につく。
こんな子、相手にするだけ時間の無駄だ。
「行くわよミミ。」
「後、あなた。」
「悪いけど、これからは私の前に姿を見せないでくれる?」
「うざいから。」
そう言い残すと華はその場から去っていく。
一人、涙を流す真奈。
アリスはそんな真奈を今すぐにでも抱きしめて、慰めてあげたかった。
だが、アリスはそれをしない。
できないでいた。
(私が何故、真奈から逃げているのか、分かった気がしますわ。)
あの子は必ず私の行いを否定する事でしょう。
私はきっとソレが嫌で逃げているんですわ。
真奈だけは、私の良き理解者のままでいて欲しい。
だから私は…。
この日、アリスはパトロールを止め、自宅へ帰って行く。
そして、数日後。
学校帰りに何となく河川敷に視線をやると、真奈が一人でゴミ拾いをしている姿を目の当たりにする。
悲しげな表情を浮かべながらも、何処か一生懸命な真奈の姿を見て、アリスはこんな事を思った。
何て見窄らしい姿。
醜く情け無い。
魔法少女の力を使えば一瞬で終わらせる事が出来るというのに…。
見なかった事にしよう、そう思い歩みを進めるアリスだが、足が前に進まない。
「くっ、仕方ないですわね。」
アリスはそう呟くと真奈の所へと向かう。




