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第1話[規律]

「もしもの時の為、逃げるコツを伝授しないと!」


鼻息を荒げ、そう答える真奈にアリスは申し訳無さそうに自分の事だと告げる。


この日を境に、アリスと真奈は仲良くなり、共に遊んだり、時にはゴミ拾いなどをして毎日を過ごして行った。


「お嬢様、またそんなにお洋服を汚して、一体何をなされているのです。」


まただ。

また奈緒香のお小言が始まった。

アリスは自室に避難し、スマホで真奈と連絡を取り、次の予定を決める。

毎日が充実した日々。

真奈と出会い、アリスの日常が変わった。

そんなある日の事。

道を歩いていると、老人が自転車で歩道を猛スピードで走っていた。

危うくアリスとぶつかりそうになり、老人は腹を立てながらアリスの足元へ持っていたタバコを投げつけ怒鳴る。


「気をつけろボケ。」


気をつけろボケですって、危険な運転をしておいて、私が悪いんですの?

アリスが反論する。

その事に頭に血が登ったのか、老人は自転車を乱暴に置き、アリスに向かって手を挙げた。

その時だった。

奈緒香が老人を取り押さえる。

周囲に人集りが出来た事を確認すると、奈緒香はアリスの手を掴み、その場を後にした。


「お嬢様、お分かりになりましたか?」

「お嬢様のバックの中身、スタンガンが入っていましたよね?」


護身用の為にアリスが父に頼み手に入れた物。

当然、奈緒香もその事を知っている。


「この際、法律違反について何も言いません。」

「ただ、そのスタンガンを利用した場合、どうなるかご存知で?」

「ああいった御老人の場合、そんな物使うとどうなるか、お嬢様なら分かりますよね?」


奈緒香が何を言いたいのか分かる。

そして私はスタンガンを使おうとしていた。

堪らずその場から去ろうとする私の手首を奈緒香が掴む。


「お待ち下さい。」

「まだ話が…。」


「ごめんなさい。」


涙が頬を伝い、私は何度も「ごめんなさい」と謝り続けた。

手首に伝わる力が緩んだ事を感じた私は、奈緒香の手を振り解き、その場から走って去る。

真奈に連絡を取らなくては、急いでスマホを取り出すが、手の震えで上手く取り出せず、私はスマホを地面へ落としてしまった。

何をしても上手くいかない。

私は両膝を地面につけ涙を流す。

落ちたスマホに私の涙がポタポタと落ちていく中、私は願った。

力が欲しい。

悪を滅ぼす力が…。

そう言葉にし、涙を流す私に声がかけられた。


「私があなたに力を与えてあげる。」

「だから泣かないでアリス。」


顔を上げ、その声の主を見つめる。

小さな羽の生えた少女。

彼女が私に力を…。


「本当に、本当に力を与えてくださるのですか?」


「ええ、勿論。」

「あなたの美しい心を汚し、傷つける悪を共に滅ぼしましょう。」


これが私とツツとの出会い。

そして私が魔法少女になった記念すべき日の出来事ですわ。

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