最終話[救済]
正気に戻った時、私はある事を思いついた。
今の私なら、三人を生き返らせる事ができるかもしれない。
希望が見えたと同時に私は、すぐに絶望する事となる。
赤く染まった私の両手。
今の私の姿を見たら、三人は何と言うだろうか。
なら、カカに頼んで三人の記憶を操作してもらうか?
いや、そんな事はできない。
今なら華の気持ちがよく分かる。
大切な友人の記憶なんて弄りたくない。
結局、私はどうする事もできなかった。
見晴らしのいい場所に三人のお墓を建て、私は毎日の様に、そこへ通う。
骨何てない。
あるのは三人の名前を刻んだ墓石だけだ。
そして、私はこの魔法少女の力で弱者を救う事を決めた。
この世界を統一し、全ての人を救う。
それを目標として私は今まで頑張ってきた。
全身血で染めながら、私は多くの人を殺し、今の世界を築き上げたのだ。
もう、誰からもイジメられない。
パワハラで苦しむ事もない。
いつでも綺麗な水が飲め、遠くの学校へ通わなくても済む。
私は、ありとあらゆる人達を助けて行った。
そして、今に至る。
「真奈、静香、華、ごめんな。」
「本当にごめん。」
「私は弱い人間だから、お前達を生き返らせる事ができなかった。」
一人で泣く私を、三人が抱きしめてくれる。
私は温かな気持ちになり、その場で眠った。
毎夜見る悪夢じゃない。
あの頃の、幸せだった時の夢を見ながら、私は眠る。
瞳から一雫の涙を流して…。
完
狂美END




