最終話[救済]
数年後。
私は魔法少女の力を使い、世界を統一させた。
貧困層、社会的弱者。
イジメに悩んでいる子や、精神的に弱い人。
それら全ての人を私は魔法少女の力を使い、救済していった。
世界を旅する中で、私は小さな少女から泥団子を貰う。
教えたばかりの日本語で彼女はこう言ってくれた。
「ありがとう。」
私はその子の頭を撫でてあげ、お礼を言う。
少女と別れ、泥団子を見つめる私にカカが溜め息を吐きながら、文句を言ってきた。
「もう、部屋に飾る所無いじゃない。」
「乾燥して、崩れて砂まみれだし、いっその事、捨てたらいいんじゃない?」
「うるせぇ、捨てられる訳ないだろ。」
そう返しながら、私はある事を思いつく。
ゲートを作り出し、いつもの場所へ向かう。
海が見え、景色がいい。
ここに、三人のお墓がある。
私は泥団子を供え、今日あった事を墓石の前で話した。
あの時、真奈の幻を見た。
あれが幽霊だったのか、幻覚だったのか分からない。
だけど、ここへ来ると三人に出会えるんだ。
「狂美ちゃん、今日も頑張ったね。」
笑顔で褒めてくれる真奈。
「泥団子、素敵だね。」
静香の言葉に癒される。
「フン、まあ、あんたにしては頑張ったんじゃない。」
華、テメーは素直に褒められないのか?
そう思った時だった。
私の頬に涙が伝う。
「ちょっと、何泣いてんのよ、あんた。」
「華ちゃんが、素直に褒めないから。」
静香に注意され、真奈もそれに便乗する。
華は慌てながら私に謝罪をしてくれた。
「悪かったわよ。」
「人の為に頑張るあんたは、正直すごいと思う。」
思わず笑ってしまう。
いつもの華じゃないと、何だか気持ち悪い。
「キモ…って、あんた馬鹿にしてんの?」
顔を真っ赤にして怒る華。
やはり、幻覚なのだろう。
幾ら静香達に言われたからって、華が素直に私を褒める訳が無い。
それに…。
この涙は罪悪感からのものだ。




