第3話[否定]
公園の街灯に照らされ、血で体を赤く染めながら、桃香が笑う。
「私を否定するから。」
そうよ。
悪いのは私じゃない。
全部コイツが悪いんだ。
コイツが…、この魔獣が悪いんだ。
私は魔法少女として、魔獣を狩っただけの事…。
一人笑う桃香を心配そうに見つめるパートナーの妖精のモモ。
そんな中、一人の魔法少女が現れた。
「まあ、何て事かしら、魔法少女が魔獣だ何て…。」
不快そうな表情をし、アリスはハンカチで鼻を押さえた。
実に不快だ。
正義であるべき筈の魔法少女が殺人鬼だなんて…。
悪を滅ぼす為、アリスは変身し、戦闘態勢をとる。
その様子を見て、桃香が笑った。
「あは、あなたも私を否定するの?」
「なら、殺さなきゃだね。」
静香に呼び出され、狂美達はファミレスに来ていた。
連日の通り魔事件に加え、一家皆殺し事件。
それらについて、静香は魔法少女が関与しているんじゃないかと睨んでいた。
その推理を聞いて魔法少女三人は顔を見合わせた。
そして…。
「静香、多分だけどそれは無いと思う。」
確かに魔獣と称して人を殺す事はある。
だけど、その場合パートナーの妖精が記憶を操作して事件を無かった事にしてくれる。
だから、大々的にニュースに流れたりはしないのだ。
だけど、この事を静香に話す訳にはいかない。
真奈も狂美も華と同じ考えでいた。
「だとしても、放ってはおけないよね。」
もし、一連の事件が同一人物による犯行なら、そこには悲しみしかない。
通り魔の被害に遭われた遺族や友人、一家皆殺し事件もそうだ。
その人達に関わった人達はすごく悲しんだだろう。
なんとしてでも止めないと…。
真奈はその考えを熱く語り、それを聞いた三人は強く頷いた。




