第3話[否定]
真夜中の公園。
そこに二人の魔法少女がいた。
「あなたのソレは愛じゃない。」
この言葉に桃香は怒り、眉間にシワを寄せる。
「初対面のあなたに私の何が分かるって言うの?」
「いきなり変な事を言わないでよ。」
そう叫ぶ桃香に対し、彼女は馬鹿にした様に笑う。
「あなた、不特定多数の男と付き合ったり、連絡を何十件も入れたりするんでしょ?」
「そんなの、愛でも何でも無いじゃない。」
「気持ち悪い。」
彼女の言葉が桃香を傷つける。
それでも、彼女は喋るのをやめない。
愛について、語るのをやめられないでいた。
愛とはお互いを思いやるもの。
一人を愛し、互いに気持ちを確かめ合う。
性別なんて関係ない。
愛があればそれだけでいい。
それなのに、あなたはどう?
不特定多数の人と付き合い、連絡を強要する。
それが、互いに気持ちを確かめ合っていると言える?
誰かに依存しているだけじゃない。
声高らかに笑い、彼女は桃香を馬鹿にした。
そんな中、桃香が呟いた。
「うるさい。」
うるさいを連呼する桃香。
魔法少女に変身し、戦闘態勢をとる。
そんな桃香を前にして、彼女もまた、魔法少女に変身した。
「まさか、魔獣も魔法少女になれるなんてね。」
パートナーの妖精にそう話すと、彼女は魔獣を討伐する様に桃香へ襲いかかった。
互いの攻撃を交わしつつ、相手の急所を狙う。
想像以上に桃香は強く、苦戦する中、彼女は桃香の腹部に剣を突き刺した。
相手に大ダメージを与え油断したのか、彼女は桃香に反撃の隙を与えてしまう。
桃香同様、腹部に剣が突き刺さる。
桃香とは違い、彼女は痛みに怯み、そのまま畳み込まれてしまう。
何度も何度も彼女の体に剣を突き刺す桃香。
もう彼女は死んでいる。
それでも桃香は彼女の体に剣を突き刺した。




