第2話[強者]
「どうしてだ。」
「どうして私の為にそこまでする。」
「私はただの殺人鬼だぞ。」
真奈の額に冷や汗が垂れる。
溢れ出る血。
意識が朦朧としてきた。
それでも伝えなきゃいけない。
彼女の為にも、そして魔法少女の力を必要としている人達の為にも…。
「あなたには多くの人を救う力がある。」
「だから、生きて。」
「生きて罪を償って。」
「友達が欲しいのなら私がなってあげる。」
「だから一緒に…。」
気を失い倒れる真奈。
真奈のパートナーの妖精が、あたふたする中、狂美はカカに真奈の治療を頼んだ。
真奈の手を握りしめる静香。
真奈を心配しつつ、静香は狂美に話しかけた。
「私も、狂美ちゃんの友達になりたい。」
「なっ、私はお前を殺そうとしたんだぞ。」
「そんな奴と友達になりたい何て…、そんな…。」
戸惑う狂美に静香は笑顔を向けた。
「忘れちゃったよ。」
「私、鳥頭だからすぐ忘れちゃうんだ。」
静香の嘘に狂美は彼女の強さを知る。
そして、これからは人の為に魔法少女の力を使う事を決意した。
この一件から数日後のある日。
静香の呼び出しで真奈と狂美は回転寿司に来ていた。
紹介したい人が居るからと来てみたのだが…。
「おい、あれって…。」
「うん、魔法少女だよね。」
周りの人間に姿を見られない様、存在感を消しているんだろうけど、魔法少女の真奈と狂美には、華のパートナーの妖精がバッチリと見えていた。
当然、華も二人と同じ反応を見せる。
「ごめん静香、二人とちょっと話しをして来ていい?」
「うん、いいけど…、もしかして知り合い?」
「あはは、まあ、そんな所。」
そう言うと華は二人を人気の無い所へと連れ込んだ。
「あのさあんた達、魔法少女ならその…、魔獣を殺してたりするわよね?」
「魔獣じゃ無く人だ馬鹿。」
狂美の言葉に華は眉間にシワを寄せた。
「ハル達が人間?」
「ふざけないでよ。」
「あいつらは魔獣よ。」
「人間なんかじゃない。」
そう、あいつらは人間何かじゃ無い。
人に地獄の様な苦しみを与え、奴らはそれを笑う。
人の苦しむ顔、悲しむ顔、それらが奴らの好物何だ。
そんな奴ら、人間何かじゃ無い。
そんな事を考えている華に狂美は言う。
「人間だよ」と。




