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第1話[弱者]

フフフ、決まった。

静香とかいう奴をどう殺すか。

話しをある程度聴くに、コイツはいじめが原因で学校に行ってないみたいだな。

不登校の奴が夢を見つけ、それに向けて頑張る。

両親もさぞ大喜びするだろう。

皆んなから夢を応援される中、私がお前の夢を狩ってやるよ。

勿論、魔力の痕跡を残してだ。

そうなった時、お前はどうするよ。

八人目の魔法少女さん。

狂美は心の中でそう語りながら立ち上がる。

そんな時だった。


「今まで色々と辛かったけど、これも全部、真奈ちゃんに出会う為だったのかもね。」

「何だかそう考えると運命を信じちゃうかも…、なんてね。」


頬を赤くして話す静香。

そんな静香を真奈はギュッと抱きしめた。

何かの行動や結果に意味があるのなら、私もまた、静香ちゃんと出会う運命だったのだろう。

同じCDを手にして出会う。

恋愛ドラマの定番かも知れないけど、私達は出会うべくして出会ったんだと思う。

だって私もまた、落ち込んでいたのだから。

静香を抱きしめながら真奈は目をとじる。

これまで出会ってきた魔法少女。

彼女達は私と出会い不快そうな表情を浮かべていた。

そんな私と出会えて顔を赤らめる静香に真奈は救われていたのだ。

二人が甘い時間を過ごしている時、狂美は立ち止まり、考えを改めた。


(やはりコイツは今殺す。)


何が運命だ。

反吐が出る。

辛い現実から逃げ、たまたま自分に都合が良い人間と出会っただけだろう。

なら後悔させてやるよ。

私と出会った運命って奴をさぁ。

狂美はカカに周りから自分達を認識されないよう頼むと変身と呟き、二人に幻覚を見せた。


「あれ?」

「静香じゃん、こんな所で何やってんの?」


突如現れたハルに静香の体が震える。

どうしてこんな所にハルちゃんが…。

いじめられている所を真奈ちゃんに見られたく無い。

そう思い、立ち上がる静香の前に華が現れた。

華から視線を逸らす静香。

そんな静香に華は泥団子を差し出した。


「静香の為に頑張って作ったんだ。」

「ほら、食べてよ。」


静香は震える手で泥団子に手を伸ばす。

私が頑張らないと華ちゃんが、いじめられちゃう。

私がハルちゃんの玩具であり続けなければ…。

口の中に泥を頬張り、不快感からか口に含んだ泥を泣きながら吐き出す。

その様子を見てハル達は笑った。

華までもが笑う。


「見ろよカカ、自ら土を食い出したぞ。」


弱者である静香を笑いながら、狂美は真奈という存在を忘れていた。

そして、真奈が正気に戻っている事も狂美は気づいていなかった。


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