第1話[弱者]
この時、私は誰かと一緒に食べるご飯は美味しいという事を知った。
香恵と一緒は楽しい。
人付き合いが苦手な私に初めて出来た友達。
毎日が幸せで毎日が楽しかった。
だが、幸せな出来事があれば、辛い出来事もある。
朝、自分の机の落書きを見て、不快感が増す。
死ねだの、消えろだの幼稚な言葉が書かれていた。
(誰がやったか分からないとでも?)
こんな下らない事をする奴なんて、あいつらしか居ない。
事実、奴らは私を見て、クスクスと笑っていた。
私は抑えきれない怒りを暴力によって解消する事にした。
椅子を引きずり、奴ら目掛け投げる。
その後は、殴る蹴るの暴行を加えた。
相手が泣き叫ぼうが止めない。
鼻血を出そうが知らんぷり。
私に敵対した事を後悔させてやる。
そう思った時だった…。
「止めなよ。」
香恵が止めに入ってきた。
少しやり過ぎたか…。
そう思った時だった。
「狂美ちゃんの暴力的な所、私は嫌い。」
「そんなだから、机にあんな事、書かれるんじゃないの?」
何だか香恵に違和感を感じながらも、私は「ごめん」と謝った。
「本当最低、大丈夫?」
そう言って、いじめっ子達に手を差し伸べる香恵を見て、私は理解した。
(ああ、そうかぁ。)
(机の落書きは香恵、お前がやったんだな。)
そのまま教室を出ようとする私をいじめっ子達が呼び止めた。
「ちょっと、どこ行く気よ。」
「こんな事して、土下座しなさいよ。」
特に土下座何てする必要はなかったので、私はそのまま無視して教室を出た。
人気の無い公園のベンチに寝そべり、私は空を眺めながら、怒りで身を焦がしていた。
憎い。
奴らが憎い。
香恵も憎い。
いっその事、あいつら全員、殺してしまおうか?
そんな事を考えていると、両親の顔が空に浮ぶ。
「いや、そんな事をすれば困るのは両親だ。」
私はそう呟き、悔しさで涙が滲む。
そんな時だった。
「あんな奴ら殺せばいいじゃない。」
何処からか、甲高い女の声が聞こえてきた。
私は辺りを見回し、その声の主を見て、自分の目を疑う。
羽の生えた小さな少女。
妖精だ。
この世に妖精が居る何て…、いや、ストレスで幻覚や幻聴が聞こえているのでは?
私がそんな事を考えていると、彼女は勝手に自己紹介を始めた。
「初めまして狂美。」
「私の名前はカカ。」
「人間界を救うべく、遥々妖精の国からやって来たの。」
人間界を救う。
カカの説明を聞き、色々と理解した私は彼女と魔法少女の契約を結んだ。
「変身。」
そう言って、魔法少女に変身し、説明を受けた通り石ころを武器に変えた。
「すげぇー、本当に武器になった。」
「てことは…。」
私はモデルガンを購入し、玉を詰め、魔法をかける。




