第3話[無関心]
「ねぇ、リリ。」
「もし、これが逆の立場なら…、いや、何でも無い。」
私は枝木を魔法で槍に変え、石ころを五つ程拾った。
急いでアリスの元へ向かい、木陰に隠れる。
真奈にはアリスを引き付けて欲しい。
そう頼んだが、どういう訳か銃でアリスを攻撃している。
本物を手に入れる何て大変だろうし、真奈がそんな事をするとは思えない。
恐らく玩具だろう。
どちらにしても、嬉しい誤算だ。
これなら作戦の成功率も上がる。
そして…。
「ハァハァ、やった。」
作戦は成功した。
アリスを串刺しにしてやった。
妖精達に桃香の治療を頼む。
無事に終わった事に安堵し、緊張感から解放されたと同時に、疲れが押し寄せる。
そんな時だった。
真奈の胸から槍の刃が突き出て、彼女の口から大量の血液が流れる。
一瞬の出来事で、何が起こったのか理解ができない。
気づいた時には、真奈の体めがけ、槍が投げられており、私はその槍を掴み、アリスに向かって、走り出していた。
「リリ、真奈の治療をお願い。」
そう叫び、私はアリスの顔面に槍を突き刺した。
目の辺りから脳を貫通し、頭蓋骨を貫き、頭から槍の刃が突き出る。
普通じゃなくても、この状態で生きてなどいられない。
それなのに…。
それなのにコイツは…。
「やれまじたわ。」
「まなをごろぜまじだぁわ。」
ケタケタと笑い、その振動で傷口が開き、血が吹き出す。
口からも大量の血を吐きながら、それでもアリスは笑い続けた。
彼女の笑い声が不快だ。
私は眉間にシワを寄せ、彼女から槍を引き抜いた。
「あなたにとって残念な話しだけど、真奈は今治療中よ。」
そう言って、私はアリスの体に何回も槍を突き刺した。
彼女が死ぬまで何回も。
何回も…。
「ハァハァ、もう生き返らないでよ。」
私は手に持っていた槍を投げ捨て、振り返る。
そして…。
「何やってるの?」
「何休んでるの?」
「ねぇ、答えてよ。」
何もしない。
ただ、下を向く妖精達に私は叫んだ。
いや、怒鳴ったんだ。
「間に合わなかった。」
「ごめんなさい、ごめんなさい。」
リリとモモが涙を流す。
どうして泣いているのよ。
泣かないでよ。
そんなの見ちゃったら、受け入れないといけないじゃない。
彼女の…、真奈の死を…。
そんなの嫌。
私は認めない。
絶対に…。
そうだ。
いい事を思いついた。




