第3話[無関心]
どういう原理か知らないが、奴は殺した魔法少女の力を得ている。
確かに、真奈と力を合わせた所で、今のアイツに勝てる気がしない。
それどころか、避けるので精一杯で、いつ殺されても可笑しくない。
そんな中、もう一人、魔法少女が現れた。
「真奈ちゃんを連れて逃げて。」
彼女はそう叫び、私はそれに頷き、真奈を抱えて、この場から逃げた。
遠くへ、もっと遠くへ逃げないと。
助けに来てくれた魔法少女がいつ殺されても可笑しくない。
この状況に焦り、私は息を切らしながら走った。
だが、真奈が暴れ、私の手から離れ、地面に落ち、そして立ち上がる。
「桃香ちゃんが、桃香ちゃんがアリスちゃんに殺されちゃう。」
走って桃香を助けに向かう真奈の手を、私は強く握った。
「離してよ。」
離さない。
絶対にこの手を離さない。
「離してよ、可奈ちゃん。」
こんな時に私は…。
私は手に力を入れ、真奈の体を引き寄せた。
そして、私は彼女の目を見つめた。
「一つだけ、あの子を救う方法があるわ。」
ただ、それには真奈の協力が必要で、彼女のこれまでの行動を否定する事となる。
「あの、魔獣と化した魔法少女を殺さなければならない。」
「それでもいいの?」
「それしか桃香ちゃんを救う方法が無いのなら、私はやるよ。」
決意に満ちた真奈の目を見て、私は彼女の手を離した。
そして、作戦を話す。
「ねえ、本気であの化け物と戦う気?」
走って桃香を助けに向かう真奈の背中を見つめ、私は頷いた。
まるで恋愛漫画の主人公になった気分だ。
好きな相手に名前で呼ばれる。
たったそれだけで、私は命を賭けようとしているのだから。
でも、少し妬けちゃうなぁ。
自分の信念まで曲げて桃香って子を助けようとしている。
ホント、妬けちゃう。




