第3話[無関心]
そう、何も間違った事はしていないんだ。
私は自分にそう言い聞かせながら、彼女を怒鳴り、追い返した。
玄関のドアにモタレ、そのまま滑るように座り込む。
気分が悪い。
「リリ、私は何も間違ってないよね。」
「勿論よ。」
「あんな頭が可笑しな奴の言葉なんか、真に受けちゃ駄目よ。」
リリの言葉を聞いて安心する。
そうよ、可笑しいのはアイツの方なんだ。
私じゃ無い。
私は立ち上がり、ベッドへ向かった。
そして、目蓋を閉じ、眠りにつく。
翌朝、仔猫に餌をあげ、学校へ通い、夜を待った。
そして、いつもの様に魔獣を捜す。
「くっ…。」
魔獣を見つけたはいいが、昨日のアイツの言葉が私の脳裏から離れないでいた。
だからといって、弱い生き物を嬲り殺すコイツを許す事などできない。
私は思いっきり剣を振りかざし…。
既の所で止めた。
「リリ、引き上げるわよ。」
私は仔犬を抱き上げ、その場から去った。
「ちょっと可奈、アイツ殺さないの?」
「その事何だけど、ちょっと相談が…。」
もう、魔獣を殺さない事、奴らを上手く捕まえる事ができないか、それらについて私はリリに相談した。
「そう、もう魔獣を殺さないのね。」
「分かったわ。」
「だったら何とかしてみる。」
「警察官の記憶を弄って、逮捕させるとかどう?」
「それって大丈夫なの?」
「魔獣との戦いに間接的に関わっているんじゃ…。」
妖精は魔法少女と魔獣との戦いに間接的に関わってはいけない。
前にリリが教えてくれた事。
それなのに…。
「大丈夫よ。」
「可奈はもう、人を魔獣として見れないんでしょ?」
「だから、こんな相談をしてきた。」
「なら大丈夫。」
「あなたが魔獣と認識しない限り、どんな悪党も人間だから。」
そうなんだ。
ありがとうリリ。
いつも私に協力してくれて、あなたがパートナーで本当に良かった。
恥ずかしくて言えない為、私は心の中で感謝した。
口に出さなきゃ、意味無いのにね。
それから数日が経ち、自宅のインターホンが鳴り、私は誰が来たのかモニターを確認した。
モニターに映る真奈の姿を見て、私は溜め息が出てしまう。
何故、そんな悲しそうな顔をするのよ。
そんな事を思いながら、オートロックの鍵を開け、部屋まで来た真奈を私は招き入れた。
「中門さん、この前はごめんなさい。」
「言い過ぎました。」
再び溜め息が出る。
間違った事は言っていない。
そう自信を持って発言した言葉ではないのか?
あの時の真奈の目、そして言葉。
それらが私の心に響いたから魔獣を殺すのを止めたというのに…。
やっぱり、私はこの子が嫌いだ。




