表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/138

第3話[無関心]

私は血塗れの仔猫を見つけ、抱き上げる。

リリに猫の記憶を弄って貰い、仔猫は暴れる事はしなかった。


「私がシャワーを浴びていた時、浴槽に死体があったわよね。」

「そいつがこの子を酷い目にあわせたのよ。」


私の言葉を聞き、彼女は俯き、何かを考えていた。

まあ、何を考えていようと、私には関係ない。

それより、せっかく家に上がらせたのだから、少し手伝って貰おうかしら。

私はそう思い、彼女に話しかけた。


「どうせなら、この子を洗うの手伝ってよ。」

「えっと…、名前は?」


「倉暗真奈。」

「あなたは?」


「中門可奈よ。」


ついでにリリを紹介し、私達は猫を洗いにお風呂場へ向かった。

暴れ回る仔猫に二人がかりでも苦戦し、何とか体中についた血液を洗い流す事ができた。

明日には動物病院に連れて行かなくては、そんな事を考えながら、紅茶を入れる。

真奈の膝の上で安心して眠る仔猫を見て、彼女に対し心を許している自分がいた。


「この子、さっきの人に酷い目に遭わされたって言ったよね。」


「ええ、人じゃなく魔獣だけどね。」


そう魔獣だ。

自分より、弱い生き物に暴力を振るい、苦痛を与えて殺していく、そんな奴、人間じゃない。

魔獣なのだ。

その事を話すと彼女は信じられない言葉を口にした。


「それって、悪い事なの?」

「だって、野良猫だよ。」

「周りに迷惑をかける害獣なんだよ。」


彼女の心無い言葉に怒りが沸く。

私は持っていた紅茶のカップを机に叩きつける様に置き、彼女を睨んだ。


「あなた、本気で言ってるの?」

「だとしたら、私はあなたを許さない。」


怒り、魔法少女に変身する。

コイツもまた、魔獣なのだ。


「どうして怒るの?」


「どうして?」

「そんなの決まってるじゃない。」

「野良猫だろうが、何だろが、人間が勝手に命を奪っていい訳ないじゃない。」

「あなた、そんな事も分からないの?」


「なら、どうして中門さんは魔獣を狩るの?」


それは…。

一瞬口籠ってしまった。

だが、直ぐに反論する。


「動物達を救う為よ。」


「救うだけなら、殺す必要は無いよ。」


なっ…。

反論せず黙る私に彼女は続ける。


「私、思うんだ。」


野良猫だからといって、虐待し殺す事は間違っている。

野良猫などの対処は保健所の仕事であって、私達が勝手にやっていい事ではない。

そしてそれは、私達、魔法少女も同じなんだよ。


「犯罪者は法で裁くべきなんだ。」

「私達、魔法少女が殺しちゃ駄目なんだよ。」


「勝手な事、言わないでよ。」

「その法に守られ無かった人達はどうするの?」

「私は何も間違った事はしていない。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ