第3話[無関心]
その日を境に私は魔法少女としての活動を始めた。
活動を始める際、親元を離れる事を決意する。
夜、家からこっそりと抜け出すのが面倒だからだ。
パートナーの妖精、リリに頼み、都合のいい様に記憶を操作して貰う。
そして、引越しの当日。
「本当にいいの?」
「猫、可愛がってたじゃん。」
私が初めて救った命。
ペット何か飼った事は無かったが、あの子と過ごした毎日は、とても幸せだった。
短い間だけど、あの子には元気も分けて貰えたと思う。
「あなたは、絶対に有り得ないと言うでしょうが、どうしても、両親には心を宿して貰いたいのよ。」
血の繋がった親子だから、そう思う。
そして、私に感動を与えてくれた、あの子ならと淡い期待を抱いてしまう。
「それに、たまに帰る口実にもなるしね。」
私はそう言うと、リリに笑いかけた。
引越してからは、多くの魔獣を殺し、多くの動物達の命を救った。
魔獣に襲われた動物達の治療をリリに頼み、里親探しにも協力して貰う。
そんな日々が続いたある日。
私は彼女と出会った。
お風呂場で、リリが彼女の妖精に「あんた誰よ」と問いかける。
だが、私にはそんな事、どうでもよかった。
それより、いつまでも裸でいる方が問題だ。
「いつまで私の裸を眺めるつもり。」
彼女は赤面し、「ごめん」と謝ると数歩後ずさる。
「リリ、行くよ。」
そう言うと私は、脱衣所から適当に乾いたタオルを拝借し、体を拭き服を着た。
「所であなたは何しに此処へ来たのよ?」
魔獣を殺しに来たわけでもないのに何故?
私は疑問に思い、彼女に尋ねてみた。
すると彼女は私の目を見て答える。
「あなたを止めに来たの。」
私を止めに?
何を馬鹿な事を、私は呆れ、彼女を無視して帰宅する事にした。
オートロックを開け、自分が住む階までエレベーターを利用する。
「…。」
「…。」
何でついて来るのだろう。
悪びれる事も無く、私の後を追い、開かれたオートロックの扉を私と一緒に通り、平然とエレベーターに乗り込む。
コイツ、私の部屋へ来るつもりだ。
「はぁ、上がってく?」
部屋の扉を開け、彼女に尋ねると、彼女は嬉しそうに「うん」と答えた。
全く、厄介な魔法少女に目をつけられたものだ。




