第3話[無関心]
「それで、魔法少女って言っても何をすればいいの?」
「悪の組織と戦うとか?」
「違うわよ。」
「戦うのは魔獣。」
そう言われて私はボロいアパートに連れて来られた。
ここに魔獣が居る。
そう言われて私は魔獣と戦う決意を固めた。
「後、あなたが死んだと言う認識を元に戻しといたから。」
それは今は言わなくてもと思いつつ、私は魔法で鍵を開けた。
本当に魔獣は居るのだろうか?
居なきゃ只の犯罪者だ。
不安になりながらも、妖精に案内され、風呂場に向かう。
そこで私は残虐な光景を目の当たりにした。
仔猫の足を楽しそうに切断する男。
仔猫は抵抗する元気も無いのか、グッタリしている。
私の存在に気づき、一瞬、驚きながらも男は私に襲いかかってきた。
恐怖に身体が強張る…、事は無かった。
この異常な場に居ても、私は何の感情も抱かないんだと、自分自身に呆れもした。
事前に魔法少女に変身すれば、力は通常の何倍も増すと妖精から聞いていたし、このアパートに入る前に変身も済ましている。
私は襲いかかって来る男の頭に、魔法のステッキを振り落とした。
まるで斧を振り落としたかの如く、男の頭が割れていく。
鼻の辺りまで振り落とされたステッキを外し、男の血で汚れたステッキを見て、不快感が込み上げて来る。
「コレが魔獣?」
「最後まで変身しなかったけど、本当に魔獣なの?」
「変身?」
「そんな物はしないわ。」
変身しないって…。
狼男の様な物を想像していたが、違うのだろうか?
だとしたら人間と見分けがつかないじゃない。
それとも…。
男を見る。
自分のした事に対し、罪の意識は無い。
だけど、コイツが魔獣では無く、人だとしたら…。
私は…。
ふと、仔猫の鳴き声で私は我に返った。
「まだ、生きてる。」
「ねぇ、この子を助けられないの?」
自分でも不思議だった。
何故、こんな言葉が出てきたのだろうか。
無感心の私が何故…。
いや、理由は考え無くたって分かる。
あの時、仔猫が弱々しく鳴いた時、私は確かに感動していた。
小さな体で、こんなにも痛めつけられ、今にでも死にそうな、この子が、振り絞る様に鳴いた。
馬鹿みたいに思われるが、その時、仔猫が死にたく無いと言った様に聞こえたのだ。
小さな体で懸命に生にしがみつく、この子を見て、私は確かに感動したのだ。




