第3話[無関心]
「なっ…。」
実の母親でありながら、気味が悪くなる程の無表情。
家に帰ってもそれは変わらない。
時間が経ち、お父さんが帰って来る。
二人は晩ご飯を済ませ、十一時頃には二人でビールを片手に、バラエティ番組を観ながら笑って過ごしていた。
「何よコレ。」
「これじゃあ、私が要らない子みたいじゃない。」
「そうかしら?」
「彼、彼女らにとって、あなたは必要な存在だと思うけど。」
幸せな家庭。
それを演じるのに必要な存在。
二人にとって、私はその程度の存在だと妖精は語った。
「この二人、楽しそうにバラエティ番組を観ているけど、実際は全く楽しんでいないわ。」
「笑い声にも感情が無いんだもの。」
家族でバラエティ番組を観て笑い合う。
それがこの二人にとって、幸せな家庭だと考えられている。
「誰も観ていない所でまで、演技を続ける。」
「あなたの両親は本当に凄い演者ね。」
クスクスと笑う妖精に不快感を抱きながら、私は尋ねた。
「なら、この二人の本心はどうなの?」
「人間なら、何かしら裏があるでしょう。」
「本心?」
「そんな物、この二人には無いわ。」
「さっきも言ったでしょ。」
「この二人はロボットなのよ。」
例え、一人になってもこの二人は素の自分を出さない。
いや、出せないのだと語る。
この二人にそういった感情が無いのだから。
そんな二人から産まれた私もまた…。
「なるほど、私が何かに無感心なのも、この二人の娘だから…。」
「何を言うの。」
「あなたは違うわ。」
「あなたは二人とは違う。」
そう言うと彼女は私に子供用の玩具の様な物を渡して来た。
「あなたには、感情があるじゃない。」
「両親を貶され怒った。」
「その感情が。」
二人のロボットから産まれた純粋無垢な少女。
そんな私だからこそ、魔法少女に向いている。
そう語る彼女。
何だか恥ずかしい。




