表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/138

第3話[無関心]

そう、分かる筈が無い。

人の気持ち何て所詮、本人にしか分からないのだから。

それなのに、コイツは、私を打ちのめしたいのか、私の反論に答えを返して来る。


「分かるわよ。」

「だって、私達妖精は言葉を色で見る事ができるんだもの。」


彼女は話す。

例えば、上司が部下を怒鳴る際、その言葉の色が青ならば、悲しみながら怒鳴っている事が分かる。

逆に、悲しみの言葉を発し、泣いていても、その言葉が赤ならば怒りを抱いているのが分かる。

人は必ずしも言葉通りの感情を抱いているとは限らない。


「その中でも、あなたの家族は異常よ。」

「だって、あなた達が発する言葉は無色透明。」

「何の感情も抱いていないんだもの。」

「まあ、さっきのあなたの言葉には色が付いていたけどね。」


嘘だ。

私は信じない。

所詮、妖精の言っている戯言に過ぎない。

言葉の色何て、結局妖精にしか分からないだけで本当かどうかも怪しい。

信じられない私に対し、妖精は溜め息を吐く。


「分かった。」

「なら、証明してあげるわよ。」

「あなたの両親がどれだけ異常かをね。」


そう言って妖精は私を自宅へと転移させた。

妖精が言うには、魔法で私は死んだ事になっているらしく、周囲からは認識される事は無いらしい。


「お母さんは…、買い物かな?」


自宅を捜し回っても、お母さんの姿は無く、行きつけのスーパーの道を辿る。


「あっ…。」


近所のおばさんと話しをしているお母さんの姿を発見した。

ハンカチを手に泣いている。

それを見て、私は何だか嬉しくなった。


「娘さん、本当に気の毒だったわ。」

「あんなに仲が良かったのにねぇ。」


何故だか、近所のおばさんも泣いている。

お母さんは近所のおばさんの話しに何度も相槌をうちながら、ハンカチを濡らしていく。


「フッ、何が機械よ。」

「何が無色透明よ。」

「お母さんは私を愛しているじゃない。」


魔法を解いたら、お母さんにウンと甘えよう。

無感心だった、私の心が潤う気がした。

だが…。


「これ、旦那さんと食べてね。」


「ありがとうございます。」


近所のおばさんから、何かを受け取り、別れた後の事だった。

妖精がニヤリと笑う。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ