第3話[無関心]
どうせこれから先、生きていたって、良い事は無い。
いや、悪い事もきっと無いだろう。
私が何かに対して、興味を持つ事は恐らく無いのだから。
宙に身を任せ、私は目蓋を閉じる。
地面まで十数秒って所か…。
果たして両親は、私の死に対してどう思うのだろうか。
それとも、死んだと同時に私は永遠の無に閉じ込められるのか。
私は十数秒の間、死について考えた。
だが…。
幾ら何でも遅すぎる。
人は死に直面した時、時間がゆっくりに感じると何かで聞いた事がある。
それなのだろうか?
それとも、既に死んでいて、私はその事に気づかず、死について考えていたのだろうか?
とりあえず目を開けてみよう。
「なっ…。」
信じられない光景に私は自分の目を疑った。
「空を飛んでる?」
いや、浮いているという表現が正しいか…。
色々と状況が飲み込めず、困惑している私の前に、羽の生えた小さな少女が私に話しかけて来た。
「自ら命を投げ捨てる何て、あんた一体何考えてんのよ。」
見た目からして、妖精?
私が浮いているのも、この子のせい?
非日常の出来事に、私は初めてドキドキした気がした。
「ちょっと、聞いてる?」
私の頬にビンタをしてくる彼女に、私は思わず笑ってしまう。
体が小さいせいか、全然痛くない。
「フフフ、ごめんなさい。」
私は彼女に頼み、学校の屋上へ下ろしてもらう。
そして私は空を見上げながら、彼女に何故飛び降りたのか、その理由を話した。
「なるほどね。」
「悲しんで貰えるか…。」
しばらくの沈黙の後、彼女は背筋が凍る程、おぞましい表情を浮かべ、笑いはじめた。
「本気であの両親が悲しむと思っていたの?」
「万が一でもあり得ない。」
「だってあの人達、人間じゃ無いんだもの。」
人間じゃない?
妖精の言葉に何故だか怒りが沸く。
そして、自然と反論の言葉が口から出る。
それに対して彼女は言う。
私の気持ちを無視して…。
「いいえ、彼、彼女らは人では無いわ。」
「いうなれば…、機械って所かしら?」
「ただ淡々と周りから完璧だと思われる為だけに動くロボット。」
「あの二人の口から放たれる言葉は薄っぺらな存在しない言葉。」
醜く歪んだ彼女の言葉に不快感が増す。
「そんなの、分からないじゃない。」




