第2話[依存]
彼女は私に愛を与えてくれた。
だからこそ、私はその愛に応えないといけない。
たとえ、この身を犠牲にしようとも…。
「私の正義の邪魔をするなぁ。」
アリスは桃香の右手首の骨を折る。
桃香は悲鳴をあげ、右手首を押さえる。
まだ痛む。
それでも、真奈ちゃんの後を追わせる訳にはいかない。
歯を食い縛り、痛みに耐えながら、桃香はアリスの体を抱きしめた。
「行かせない。」
「真奈ちゃんの所には、絶対に行かせない。」
両腕に力を入れる。
「邪魔しないでくださる?」
アリスは指を鳴らし、矢を十本作り出す。
そしてその矢は桃香の左足に十本全部、突き刺さった。
それでも、離さない桃香に苛立ちながら、アリスは彼女の目に指を入れ、そのまま指を掻き回す。
あまりの痛さに手を離し、目を押さえる桃香。
アリスは彼女から抉り取った目玉を踏み、真奈を捜しに歩みを進めた。
そんなアリスの体を再び抱きしめる桃香。
アリスの服が桃香の血で赤くなり、不快感を抱く。
「そう、そんなに私の邪魔をするならば…、殺して差し上げますわ。」
そうアリスが口にした時だった。
真奈が狂美が所持していたモデルガンを拾い、アリス目掛け発砲した。
魔法で強化された玉は、アリスの腕に命中し、傷口から大量の血が流れる。
「桃香ちゃん、助けに来たよ。」
その言葉に、桃香は呟く。
「どうして…、どうして戻ってきたの。」
このままじゃ、真奈ちゃんが殺されちゃう。
そう思い、嘆く桃香を他所に、アリスは笑った。
「真奈、あなただけは殺す。」
「絶対に殺しますわ。」
そう叫ぶアリスの背後に可奈が現れた。
「死ぬのはあなたよ。」
槍でアリスの心臓目掛け突き刺す。
更に五つの小石を宙に投げ、魔法で小石全てを槍に変え、容赦なく五つの槍をアリスの体に突き刺していく。
アリスは吐血し、アリスのパートナーの妖精は体が透明になっていき、消滅した。




