第2話[依存]
「桃香ちゃん。」
桃香の所へ走り、真奈は桃香を強く抱きしめた。
もう離さない。
そう言わんばかりに力強く、真奈は彼女を抱きしめた。
締め付けられる様な痛みを感じながら、真奈の体が震えている事に気づく。
「どうして震えてるの?」
安心したのか、真奈は涙と鼻水で顔がグシャグシャになりながら、桃香の質問に答える。
「恐かったからだよ。」
そう、恐かった。
真奈にとって、桃香は特別な存在。
初めて人を殺さないと約束してくれた魔法少女。
初めて出来た魔法少女の友人。
他にも、一緒にパトロールしたり、買い物したり、お泊りしたりと一緒に時間を共にした。
そんな彼女を失うのが、真奈はとても恐かったのだ。
「罪を背負いきれないのなら、私も一緒に背負ってあげる。」
「だから…。」
「無理だよ。」
「一緒に背負う何て絶対に無理。」
「だって、真奈ちゃんの手はこんなに綺麗じゃない。」
愛おしそうに手を握る。
汚れて汚い自分の手と比べ、真奈の手は美しく綺麗だった。
「そんな事無いよ。」
「だって私、桃香ちゃんの罪を見てみぬ振りをしたんだからだ。」
「見てみぬ振りって、こんな事を警察に話しても信じて貰えないよ。」
「魔法少女何て、誰も信じない。」
真奈は首を横に振り答える。
「桃香ちゃんも魔法少女なら分かるでしょ。」
真奈の言葉で桃香は理解した。
「でも…。」
呟く桃香を再びキツく抱きしめ、真奈は「死なないで」とお願いする。
彼女の温もりを感じながら、桃香は「うん」と言って頷いた。