第2話[依存]
真奈を通じて始めた善行。
誰かの為に頑張る喜びを知り、桃香は真奈が居なくても、ソレらを続ける事にした。
初めは、行った善行について真奈に報告し、褒められるのが嬉しかった桃香だったが、次第に真奈に報告しなくなり、いい事をするのが、彼女の中で当たり前になっていった。
だが、いい事をすればする程、彼女の心を、過去に行った罪が締め付けていく。
自分の両手を見つめ、過去を振り返る桃香。
赤黒く、血で染まった手。
私はどうしようも無く、馬鹿だった。
「私の手は人殺しの手。」
これまで殺してきた命が彼女の背中にのしかかる。
それはとても重く、背負いきる事が出来ず、彼女は罪悪感に押し潰された。
呼吸が荒くなり、桃香は家を出て、マンションの屋上へと走る。
魔法を使えば、屋上の鍵が開く。
彼女は屋上から見える景色を眺め、真奈に電話で、過去に起こした罪、それに耐えきれ無くなった事、そして最後の別れを告げた。
涙が頬を伝う。
モモが言っていた魔獣、それは私だったんだ。
そんな私を人間に変えてくれた。
真奈に感謝をし、自らの人生を終わらせる事を決意した。
そんな時だった。
「桃香ちゃんが死んだら、私も死ぬ。」
「だから私が行くまで死なないで、私を殺さないで。」
電話口から真奈の力強い声が聞こえる。
桃香の動きが止まったのを確認し、モモが電話で現在地を伝えた。
本当なら転移魔法で真奈を迎えに行き、連れて来たい所だが、桃香を一人にするのが心配だ。
モモは桃香が来るまで、一生懸命、話しかけた。
そして…。