最終話[選択]
寝ても覚めても私は真奈の事ばかり想う。
私が唯一、負けを認めた人物。
彼女は私の心に種を植え付けた。
それが咲、私は彼女を忘れられないでいた。
「いいわ真奈、だったらあの世で見ていなさい」
「そして後悔するのよ」
「私を殺さなかった事を……」
魔法少女の力を使い、この世界の秩序を崩壊させる。
警察、自衛官、国会議員。
全てを殺して秩序の無い世界を私は作り上げた。
道を歩けば暴力が横行する世界。
力が無い者は力の強い者に支配され、奴隷の様な生活を虐げられる。
ついこの間まで金持ちだった者も、今では全てを奪われて顔中が腫れ上がり、こき使われている。
「ああ、見てる真奈」
「可哀想でしょ、助けたいでしょ、私を殺していれば良かったと後悔しているでしょ?」
負けた腹いせ、只の悪あがき。
こうする事であなたに植え付けられた花と向き合うの。
そうする事でしか、私は生きていけないのよ。
道行く人を殺しながら、適当な家に入り私は食べ物を漁る。
「ねえ朱音、この死体達食べていい?」
「好きにして、今日は此処で休むわよ」
全ての世界の秩序は壊した。
後は人を殺して周るだけ。
私はそんな事を考えながら、ベッドに横になり瞼を閉じる。
ふと外から悲鳴が聞こえ、私は目を覚ました。
窓に向かい外を見る。
するとそこには少女が一人、男達に囲まれていた。
私はニタリと笑うと少女以外の時間を止め、そして窓から飛ぶ様に降りると少女に向けてナイフを投げた。
「この男達をそれで殺しなさい」
「そうすれば、私はあなたに何でもしてあげる」
戸惑う理由何て無い。
こんなクズの命、奪っても罪悪感何て抱かないだろう。
「あなたは?」
「悪い魔女よ」
そう、この世界を壊した悪い魔女。
「魔女さん、助けてくれてありがとう」
彼女の言葉にハッとする。
助けた?
この私が彼女を?
どうして?
自分にそれらを問いかけて、思わず笑ってしまう。
何故、私が彼女を助けたのか。
それは彼女が真奈に似ていて、私が孤独を感じていたからだ。
だから私は彼女を助けた。
真奈の代わりを求めて……。
「でも人は殺せないよ」
胸が刃物で引き裂いたかの様に苦しくなる。
失恋ってこんな感じなのかしら。
「分かっているの?」
「コイツらを殺さないとあなたに未来は無いのよ」
「それでも殺せない」
自らナイフを手に取り彼女はそれを喉元に突き立てる。
嫌な子ね。
あの時の真奈とソックリだわ。
覚悟を決めたのか彼女はナイフを振り上げる。
そんな彼女に対し私は……。
完
朱音END
実は私、魔法少女なの…。第七部完結しました。
更新速度が遅く、逃走しそうになりましたが何とか完結できました。
また読み返して、のんびり編集して、しばらく休んでから第八部を書き始め様かなと思っています。
どうかこれからもよろしくお願いします!