最終話[選択]
夜の公園内に真奈の悲鳴が響き渡る。
目を覚ました真奈の前には大好きな仲間達の頭が綺麗に並べられてあった。
もう互いに話し合い笑い合う事もできない。
その辛さが真奈の瞳に涙を溜める。
だが……。
「安心して真奈、あなたの大切な人達を生き返らせる方法があるわ」
「本当に?」
「本当に皆んなが生き返るの?」
「ええ、あるわ」
「私を殺せば皆んなを生き返らせる程の魔力を得られる」
「えっ?」
本来なら皆んなを殺して憎しみを真奈に植え付け、復讐という名目で自分を殺して貰おうと考えていたが、魔法少女を殺す事により魔力が上がる事を知り予定を変え、そう言って自分を殺す様に促した。
此方の方が確実だ。
私は真奈前にナイフを投げる。
「さあ、そのナイフで私を刺して、それで大好きな皆んなを生き返らせるの」
真奈は震える手でナイフを掴む。
そんな真奈を見て、私は思わず口角を緩めてしまう。
それでいいのよ真奈、それで私の命を奪って頂戴。
あなたのその美しく綺麗な手を私の血で赤く染めるの。
一生消える事の無い傷と共にね。
フフフ、想像しただけで興奮してきたわ。
さあ早く私を殺して、真奈。
「やっぱり……、できないよ」
真奈は悲しそうな表情を浮かべながらそう言うと、私の目の前でナイフを自分の胸に突き刺した。
「何をしているの?」
彼女は吐血していて答えない。
「仲間は……、友達はいいの?」
彼女の洋服が血で赤く染まっていく。
彼女はナイフを捨て、地面には血溜まりが出来ていく。
「私を殺せば皆んなが生きかえるのよ」
「また、いつもの様な暮らしができるの」
「なのに何故……」
彼女の目は次第に虚になっていき、もう二度と動く事は無い。
フフフ、何が何故よ。
自分で言っておいて嫌気がするわ。
真奈が何故自ら命を絶ったか何て本当は分かっていたじゃない。
あの子は最後まで自分を貫き通したのよ。
仲間が生き返るだなんて甘い言葉にも耳を傾けず、最後まで死んだ仲間達に胸を張れる様に……。
私は産まれて初めて負けを認めた。