第2話[愛の魔法少女]
あれから朱音と行動を共にし、プライベートでも付き合う様になった。
彼女は頭も良く、勉強を教えるのも上手だ。
ただ……。
「みて、朱音ちゃんのお陰でテストでいい点が取れたよ」
朱音に漆を紹介したのは間違いだった。
朱音が居ない時でも漆は朱音の話しばかりする。
どうやら漆は朱音に憧れているらしい。
私は隙をみて朱音を呼び出した。
「分かっていると思うけど、漆に手を出したら殺すわよ」
「そんなに大事なら妖精に頼んで記憶をすり替えて貰えばいいのに」
「前にも言ったでしょ」
「私は好きな人に対してそんな事したくないの」
「私は正々堂々、漆の心を……」
「正々堂々ね〜」
そう言うと彼女は私を鼻で笑った。
「喧嘩売ってんの?」
「まさか、安心して愛歌」
「私は貴女の味方よ」
「貴女の恋も応援してる」
「ただ、あまり素っ気ない態度をとってしまったら、貴女の大好きな三芳さんが傷ついてしまうでしょ」
「貴女もそれは嫌な筈よね?」
くっ、コイツのこういう所だ。
私の味方だと甘く囁き、三芳さんと呼んで漆との距離を保つ。
そして、漆に対しても気を遣ってくれている。
そんな彼女だからこそ、私は寛容になり、朱音の生意気な態度にもついつい許してしまう。
だが……。
「ただ、後悔しても知らないわよ」
「だって、死は理不尽に訪れるものだから」
「はぁ?」
「何よそれ」
彼女という人間がイマイチ掴めない。
それから数日後、私は桃香という魔法少女の存在を知った。
朱音の話しによると、偽りの愛を求めているのだとか。
過去の恋愛歴も酷いものだ。
色んな男と付き合い、そしてすぐに別れるの繰り返し。
その癖、まだ愛を求めている。
正直、気持ち悪くて吐きそうだわ。
「それで愛歌、彼女は?」
「勿論、死刑よ」
「フフフ、貴女ならそう言うと思ってた」
「だけど、桃香は真奈の仲間よ」
「今は真奈を狙っているみたい」
真奈ってアレか、徒党を組んで人殺しを止めているとかの……。
「だから何?」
「寧ろ感謝されるんじゃないかしら?」
「気持ち悪い奴を殺してくれて、ありがとうって……」
「流石、愛歌ね」
「貴女のそういう所、私大好き」
こうして私達は桃香を殺す為に動き始めた。