第6部第1話[想い他人]
朝、ニュース番組を観て私は不快感を抱きながら学校へ登校する。
芸能人達の不倫報道、本当に下らない。
汚らわし汚物以下の存在が、もう二度とテレビに出て欲しくない。
「おはよう、愛ちゃん」
「雑誌見たよ、超可愛いかった」
そう言って話しかけて来るこの子は私の幼馴染の三芳漆。
私の初恋の相手で生涯愛し続けると心に決めた女の子だ。
彼女に可愛いと言われただけで朝の不快感は無くなり、幸せな気持ちになる。
彼女は魔法使いなのかな?
私を幸せにしてくれる魔法使い様。
学校に着き、下駄箱を開けるとラブレターが入っていた。
「おっ、朝からモテますなぁ」
「茶化さないで、つか今時ラブレターかよ」
「昭和かっつーの」
とか言いつつも私は内心喜んでいた。
私がしたくも無いモデルをやっているのは漆に「私の自慢」や「超可愛いかった」と言ってもらいたいが為。
ただ、第二の目的があるとしたら、男子にモテる為だろうか。
だって、私がモテれば漆に気を持つ男子が居なくなるって事だもの。
漆は私だけの物。
男子に奪われる何て想像しただけで吐き気がする。
「ねえ、今日愛ちゃん家行っていい?」
「えっと、ごめん」
「明日、テレビの収録があるからちょっと……」
チッ、何で仕事何てあんのよ。
ホント、今の事務所ブラックだわ。
中学生を働かせ過ぎ。
あっ、そうだ。
「ねえ、漆も来てみない?」
「収録現場はマネージャーに聞いてみなきゃだけど、それ以外なら基本自由だし」
「いいの?」
漆ったら嬉しそうにしちゃって、可愛い。
後でマネージャー脅さないとね。
社長が何か言ってくれば辞めるで何とかなるし、ホント今の事務所ホワイトだわ。
学校が終わり、私はラブレターの呼び出しをすっぽかして、マネージャーの車に乗り込んだ。
打ち合わせが終わったら漆と一緒にお風呂に入ろうっと。
あっ、その前にちょっと観光した方がいいかな?
打ち合わせの前にも時間はありそうだし。
私はハシャギながら目的地に着くまで漆と楽しくお喋りをした。
そして荷物を置き、ちょっとだけ観光に出かけた。
だけど……。
「あれっ、何処かで会った事ある?」
ナンパがウザイ。
本当に警察は何をやっているのかしら?
こんなゴミを野放しにするなんて。
見境なしに女に声をかける奴は不快で堪らない。
コイツらは本当の愛を知らないんだわ。
まあ、どうでもいい事だけど。
そろそろ、事務所が雇ったボディーガードが来る頃かしら。
私の背後に居たボディーガード達がナンパ男を取り囲み、何処かへ連れて行く。