表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
117/138

最終話[地獄]

火口にたどり着いた私は目を瞑った。

夢から覚めた時、何故か朱音の姿があった。

ミミには見えていないのか、朱音について語る事はなかった。

今にも襲いかかる殺人衝動、そして世界を滅ぼせと囁く朱音。

ふざけんな、あんたの思い通りなんてさせない。

そう思い、私はマグマに身を投げる事を決意した。

どうせ私は一人なんだから……。


「華、お願いだから考え直して」


ごめんねミミ。

馬鹿なパートナーで本当にごめん。


「まさか、マグマの中に飛び降りる気?」

「今のあなたがマグマに飛び降りるとどうなるか知ってるの?」


そう言って朱音が語る。

マグマの熱で体が溶けると同時に膨大な魔力を消費し体が再生されていく。

つまり、魔力が尽きない限り私は死ぬ事はなく、マグマに焼か続ける苦しみを受け続ける事となる。


「それでもあなたは飛び込むの?」


私は朱音を無視して一歩、また一歩と火口に近づいて行く。


「フフフ、素晴らしいわ」

「自ら地獄の苦しみを受けようだなんて」

「肉体があれば鳥肌が立っていたでしょう」


一体、朱音はどんな顔をして喋っているのだろうか。

考えるまでもないか、私はそんな事を考えながらマグマに向かって身を投げた。

その時だった。

私の手を真奈ちゃんが掴む。


「死なせない、絶対に華ちゃんを死なせるもんか」


居る筈の無い真奈ちゃんが私の手首を強く握る。

そんな……。

どうして?


「真奈ちゃんお願い離して」


そう叫ぶ私に真奈ちゃんは「離さない」と叫び返す。


「駄目なの、私は死なないと駄目なの」

「気を許してしまえば、また人を……」


「そんなもん、気合いで何とかしろよ」


狂美が現れ、そう言って私のもう一つの腕を掴んだ。


「いや……、お願い離して」


この世界で一人、殺人衝動と戦いながら生きていくなんて嫌。

恐くて確認できなかったけど、恐らく静香も殺されている筈だ。

そんな世界で生きていたって何も意味なんて……。

二人の背後から朱音が私を見下した様に、そして私の心を覗いてきたかの様に言う。


「静香は私が殺したわ」

「あなたは一人ぼっちなのよ」


「朱音ちゃんは黙ってて」


そう叫ぶ真奈ちゃん。

そして狂美が私に優しい笑顔を向け、私に話しかけてきた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ