第3話[憎悪]
狂美は華の後を追いかける。
そして……。
「待てよ華、私も力を貸すぜ」
「狂美……」
後を追いかけてくれた事が嬉しくて華は狂美に笑顔を向けお礼を言った。
「二人なら楽勝で勝てるだろ」
「うん、でも何か卑怯な様な……」
「バッカ、そんなの気にするなよ」
「つか、復讐に卑怯も何も無いだろう」
「それもそうだね」
そう言って二人は笑い合い帰っていく。
翌日、華の家に静香がやって来て、復讐を止める為、真奈と同じ事を華に言う。
そんな彼女に華は笑顔を向け対応した。
「悪いけど、もう決めた事だから」
「華ちゃ……」
静香の言葉を最後まで聞かずに華は玄関の扉を閉める。
ごめんね静香、ごめんね真奈ちゃん。
二人は私を想って言ってくれてるんだよね。
それなのに私は……。
脱衣所に向かい鏡を見る。
「ハルはそんな事、望んでないか……」
本当にそうだろうか?
もし私がハルの立場なら復讐して欲しく無いと思うのだろうか?
自分を殺した人間がいつもと変わらない日常を過ごしていたら私ならどう思う?
「死んで欲しいと思うよね」
そう思う筈だ。
私は顔を洗い滲み出た涙を洗い落とす。
そして私は夜を待った。
一人で行動していれば、そのまま闇討ちに、二人で行動していれば、別れ際を狙い打つ。
事前に狂美と打ち合わせた内容だ。
愛歌を捜し回る事、数時間。
この日は愛歌を見つける事ができなかった。
それから数日後、私達はアリスが殺された事を知った。