第2話[仲良し]
彼女は強く、このままじゃ彼女に勝てないと実感した私は彼女を説得する事にした。
ハルとは既に和解している。
静香も彼女を許している。
だからハルを狙うのは止めて。
そう彼女に伝えた。
すると彼女は……。
「何か勘違いしているみたいだけど、私はその子がいじめっ子だから狙っている訳じゃないんだけど」
「つか、イジメとかどうでもいいし」
「問題なのはその子が私の前で偽りの愛を語った事」
そう言うと彼女は両手を頬に置き、恍惚な表情を浮かべて愛について語る。
「だってそうでしょ?」
「普通、愛する人には笑っていたいって思うじゃない」
「心に決めた、ただ一人を想い続け愛し続ける」
「それが愛ってものでしょ」
「それなのに、不倫だの二股だの本当にくだらない」
「私はそういった偽りの愛を語る魔獣を狩る」
「ただそれだけよ」
彼女は武器を拾い再び襲いかかって来た。
私は彼女の攻撃を交わしつつ、ハルの腕を握りそのまま逃走しようと走り出した。
がっ……。
ハルの悲鳴が聞こえ、私は立ち止まる。
嫌な予感がして私の額から冷や汗が滲み出た。
そんな中、私はゆっくりと後ろを振り返る。
腕を失い血を吹き出して苦しんでいるハルの姿がそこにはあった。
ポタポタと私の足元にハルの血が落ちていく。
私はそんなハルの腕を見て、悲鳴を上げた。
早く、この腕をハルにつけてあげないと……。
私はハルの腕を持ちながらハルに近づいていく……。
「来ないで、来たら華も殺されちゃう」
痛みでそれどころじゃ無い筈なのに……。
それなのにハルは私を心配してくれた。
「ありがとう華……」
「私、これから罪を償うね」
「今まで本当に楽しかった」
「止めて、ハルを殺さないで」
「何でも言う事を聞きますから」
「だから……」
「バイバイ」
笑顔で私に別れを告げるハル。
死が怖いのか、それとも私達との別れが辛いのか、彼女は涙を流していた。
そして、ハルの首は切り落とされ、無惨にそして残酷にハルは殺された。
目の前にいる魔法少女に……。
「もしこの世界に魔獣がいるのなら、それはあんただと思う」
「綺麗な花を大切にしない……」
「あなたは魔獣よ」
ハル、あなたにはまだやる事があったじゃない。
皆んなに薔薇を一本、渡して回るんでしょ。
あなたが私にくれた薔薇、今まで見た花の中で一番綺麗に見えたし、すごく嬉しかった。
きっと皆んなもそう感じてくれた筈……。
それが今では無惨に散りあなたの体の下敷きに……。
許せないよね。
許せる訳ないよね。
私は目の前に居る魔獣が憎い。
どうしようもないくらい憎くて仕方がない。