第2話[仲良し]
あの日以降、私と静香はハルからイジメられる事は無くなった。
それどころか、ハルは取巻き達と交際を絶ったのかクラスで一人、孤立していた。
誰とも話しをせずに一人、本を読んでいる。
そんなハルに静香は声をかけに行った。
「ハルちゃん、私達とお話ししよ」
ハルは本を閉じ、席を立つ。
そして、何処かへ向かおうとするハルの腕を静香が掴んだ。
「私、前みたいにハルちゃんと仲良くしたいの……」
「だから……」
立ち止まり何も言わず立ち尽くすハル。
そんなハルに私も声をかけた。
「静香もこう言ってるんだし、一緒にいようよ」
「一緒にって……、私があなた達に何をしたのか分かってるでしょ」
「あんな酷い目にあわされてよくそんな事が言えるわね」
別に忘れた訳じゃない。
本当に辛く、彼女を憎んだ事もあった。
それでも、静香ならきっとこう言うだろう。
「忘れたよ」
「私、馬鹿だから忘れた」
そう言って私はハルに笑顔を向けた。
コレで良かったんだ。
私は涙を流し謝るハルにハンカチを手渡した。
私、少しは強くなれたかな?
真奈ちゃん達や静香みたいに優しくて強い人間に……。
ハルと仲直りして数日後、私はハルと静香を連れて、真奈ちゃん主催のゴミ拾いに参加していた。
皆んなでワイワイ楽しみながらゴミを拾う。
遊び半分でって感じではあるが、ゴミを拾って街が綺麗になっていくのは気持ちがいい。
「ねえ、華」
「あの二人、仲が良過ぎない?」
ハルが私に話しかけて来て、私はハルの視線の先を追った。
ああ、真奈ちゃんと静香の事か。
「何だか静香、真奈ちゃんの事気に入っちゃって」
「何だろ、二人は似ている所もあるし何かあるんだろうか?」
「そっか……、まあ静香が幸せなら、それでいいかも……」
ハル……。
私だけで無く、ハルも変わったんだね。
更に数日後、私達は回転寿司に行った。
この頃には皆んなとも慣れて真奈ちゃん以外は呼び捨てに呼んでいた。
真奈ちゃんは「どうして私だけ」って言ってたけど、何だろう……。
真奈ちゃんは呼び捨てより、ちゃん付けの方がしっくりくる。
「ちょっと狂美、何高い皿ばかり取ってんのよ」
私はそう言って、真奈ちゃんと静香を指差した。
「二人共、気を遣ってさっきから玉子ばかり食べてるじゃない」
「あんたも少しは気を遣いなさいよ」
そんなやり取りを見ながら、可奈は真奈ちゃんと静香を見て笑った。
「二人共、可愛い」
クスクスと笑う可奈の横でハルが私に醤油を取ってくれと頼んできた。
皆んなで賑やかに食べるご飯が美味しい。
こんな幸せな時間が訪れるなんて夢にも思わなかった。