第1話[変化]
「あんた、こんな事してタダで済むと思ってるの」
ハルの言葉を聞いた彼女は全く動じる事なく答えた。
「別に大した事にならないだろ」
「中学なんて義務教育な訳だしさ」
「退学なんてなりやしねーよ」
「あんた馬鹿じゃないの、内心書が悪くなるじゃない」
「そんなもん、学力だけで何とかしてみせるさ」
「それに、イジメから守ったんだ」
「そんな低くならないだろ」
それを聞いたハルが笑顔を浮かべた。
「ねぇ、華」
「私、あんたをイジメて無いわよね」
「ただ遊んでいただけ」
「そうでしょ?」
ハルの言葉に私は下を向く。
駄目だ。
怖い……。
そんな中、私の体を真奈って子が抱きしめてくれた。
「誰がどう見てもイジメだよ」
「この子のこんな姿を見て、イジメて無いって言える?」
「あんたには聞いてない」
「部外者が口を挟むな」
威圧的な態度でハルは真奈って子を怒鳴りつけた。
変わらないと……。
私も変わって強くならないと……。
今の私には味方がいる。
そのお陰か少しだけ勇気が湧いてきた。
「何が遊びよ……」
「私のお店で買った花を私の机に置いて何が遊んでただけよ」
「ふざけないで、あんたは人をイジメて楽しんでいる最低な人間よ」
言えた。
ハルに言ってやった。
「このくそが……」
ハルが私に近づいてビンタをしようとする。
そんなハルを狂美って子が止めた。
「テメーの相手は私だろうが」
腕を掴む手に力を入れているのだろうか、ハルの表情が曇っていく。
そして、手を振り払いハルは取巻き達を連れトイレから出て行った。
「華ちゃん」
静香が私を抱きしめ、駆けつけてくれた三人にお礼を言う。
「えっと、名前は……」
「私は真奈、あなたは?」
「静香です」
そう言って私達は自己紹介を始めた。
真奈、可奈、狂美。
助けに来てくれた三人の名前。
そして、恩人の名前だ。
「静香ちゃん、ちょっとごめんね」
真奈ちゃんがそう言うと、可奈ちゃんがボソリと呟いた。
「リリ、お願い」
可奈ちゃんのポケットから小さな妖精が出て来て、しばらくして静香が動かなくなった。
「安心して、ただ時間を止めただけだから」
「時間を止めたって……、えっ?」
私が困惑していると狂美ちゃんが笑顔で話しかけてきた。
「言ったろ、私らは魔法少女だって」
「まあ、時間を止めてるのは可奈ちゃんのパートナーの妖精さんだけどね」
そう言ってツッコミを入れる真奈ちゃん。
そんな中、狂美ちゃんのポケットからも妖精が現れた。
「居るんでしょミミ」
「出てきなよ」
狂美のポケットから出てきた妖精が大声で叫ぶ。
すると何処からか妖精が現れた。