第1話[変化]
放課後、私はハル達にトイレへ連れて行かれた。
そんな私の後を追う静香。
トイレ内で静香がハルに私を許すよう懇願する。
「お願いハルちゃん、華ちゃんを許してあげて」
「代わりに私が何でもするから、だから……」
「静香は本当に可愛いね」
「食べちゃいたいくらい可愛い」
ハルはそう言うと静香の頬を舐めた。
「何でもするか……」
「魅力的な提案だけど私、どうしても華を許せないの」
「それに、いつかは何でも言う事を聞くように調教すれば良い話しだしね」
そう言うとハルは取巻き達に命令する。
私を羽交い締めにし、制服を切るように……。
「でも、先生にバレたらヤバいって……」
「あっ?」
「だったらあんたが罪を被ればいいだけでしょ」
「それとも何?」
「あんたが華の代わりにイジメられたいの?」
「良かったわね華、代わりができ……」
「やります」
「やりますから怒らないで……」
私は取巻きの一人に羽交い締めにされ、もう一人はハサミを手にして私に近づいて来る。
そんな中、静香が私を抱きしめ、守ってくれる。
それを不機嫌そうに見つめるハル。
そして……。
「はぁ、わかったわよ静香」
「もう華はイジメ無いわ」
「その代わり私の言う事を何でも聞いてね」
頷く静香にハルは自分を抱きしめるように指示を出した。
静香はそれに従いハルを抱きしめる。
ハルも静香を抱き返し愛の言葉を囁きながら、取巻き達に指示を出した。
「ヤレ」
私は再び羽交い締めにされる。
「いや、華ちゃんをイジメないって約束したのに……」
「ええ、約束したわ」
「でも、静香をイジメないとは言って無い」
「華に酷い事をすれば静香は傷つくでしょ?」
声高らかに笑うハルの声、悲鳴をあげる静香。
そんな中、私は絶望し抵抗するのを止めた。
結局、誰もハルには勝てないんだ。
これからも私はハルにイジメ続けられる。
もう、学校へ行くの止めようかな。
いや、そんな事をすれば静香がイジメられるか。
せっかく学校に来れたんだ。
もう静香がイジメられないように私が代わりにイジメられなきゃ……。
ハァ、辛いなぁ……。
制服が切られていく中、私はそんな事を思っていた。
そんな時だった。
「オラァ」
トイレのドアが壊される。
「ちょっと狂美ちゃん、ドアは蹴破るもんじゃないよ」
「ほっときなさい真奈」
「馬鹿に何を言っても意味がないわ」
「ああん、馬鹿じゃねーよ」
「第一、ドアくらい魔法で治せば良いじゃねーかよ」
何が起きているのか理解できないでいた。
恐らくハルも……、いやトイレに居る全員が理解できないでいた。
それぞれ全く違う学校の制服を着た三人が何故か私達の学校のトイレに居る。
しかもドアを蹴り飛ばして入ってきた。
「なっ、あんた達誰よ」
「あん?」
「魔法少女だよ」
それを聞いたハル達が笑い出す。
その間、真奈って呼ばれていた子が私に近づき私を抱き寄せてくれた。
「もう大丈夫だよ」
「それにしても制服を切るなんて酷い……」
「大丈夫よ真奈」
「魔法で治せばいいわ」
そう言って二人が会話をする中、ハルの取巻き達が二人を襲う。
「勝手に華に触れんじゃねー」
そう言って真奈って子に向かっていく取巻き達を狂美って子が殴り倒す。