第5部第1話[変化]
ハルが私のお店に来て花を買おうとしている。
そんなハルに私は笑顔で接客し、サービスとして彼女に花をプレゼントした。
私は彼女に取り入ろうと必死だったのだ。
ご機嫌なハルを見て、私はホッと胸を撫で下ろす。
彼女の機嫌を損ねてしまえば私がイジメのターゲットにされてしまう。
「ありがとう華、すごく嬉しいわ」
「うん、その花言葉はね……」
少しハルと会話をし、ハルはご機嫌で帰っていく。
「また明日学校でね」
「うん、また明日」
どうやら彼氏に花を贈るらしい。
私はお手伝いを終えると静香の家へ向かった。
今日の事を話し、静香を安心させてあげる。
「そっか、ハルちゃんが華ちゃんのお店に」
「うん、ハルとも仲良くやってるし私は大丈夫だよ」
「良かった」
「それにしてもハルちゃんに彼氏かぁ〜」
「好きな人にお花を贈るなんて素敵だね」
「うん」
私も静香と同じ意見だ。
好きな人にお花を贈るかぁ。
私もそんな日が来るのだろうか。
何はともあれ、ハルには彼氏と上手くやってもらいたいものだ。
そう思っていたのに……。
翌日、私の席に花瓶に入れられた花が置かれていた。
その花を見て私は心底傷ついた。
何故ならその花は昨日、私のお店であげた花だったからだ。
「あっ、やっと来た」
「私の愛しい彼氏様」
悪びれる事無く私に話しかけて来るハル。
そんなハルに私は笑顔で接する。
そうするしか私には選択肢がないからだ。
「ねぇ、嬉しい?」
「うん、すごく嬉しい」
「ありがとうハル」
私は瞳に涙を滲ませながら彼女にお礼を言う。
「泣く程嬉しいんだ」
「そりゃそうだよね」
「私達、相思相愛だもんね」
「うん、そうだね……」
私は辛くて俯いた。
そしてホームルームが始まり、担任の先生が私の席にある花に気づく。
「華さん、その花は?」
私はハルの指示通りに席を立ち、そして叫んだ。
「フラワーショップ花花、只今経営困難です」
「どうかクラスの皆さん、私のお店を救って下さい」
「私のお店でお花を買って下さい」
私はクラスの皆んなに席に置かれた花を見せる。
そんな私を見て、ハル達は笑っていた。
学校が終わり、私は静香の家へ向かった。
彼女の側に居られるだけでいい。
今日起きた出来事も我慢できる。
我慢……。