第3話[裏切り]
「あなたのせいで真奈が死んだのよ」
「あなたが私に攻撃するから……」
朱音の持つハンドガンを見て、私は状況を理解した。
だが、そんな事よりも心臓を貫かれ生きている彼女に私は恐怖していた。
「どうして生きてるの?」
私の問いに彼女は笑顔で答える。
「魔法少女が魔法少女を殺すとね、魔力が上がるみたいなの」
「そのせいかそう簡単に死ね無いみたい」
朱音はそういうと自分に突き刺さった剣を抜きそれを地面に捨てた。
私は地面に両膝をつけ、涙を流す。
「私を殺して」
「真奈ちゃんが居ない世界なんて私は生きたくない」
そう言って私は彼女に殺す様に懇願した。
すると彼女は不気味な笑みを浮かべ私にこう尋ねてきた。
「本当に?」
「本当にあなたは死にたいの?」
「うん、もう生きていたくない」
真奈ちゃんが居たから私は生きてこれたんだ。
彼女と一緒だと嫌な事も忘れられた。
彼女は私に幸せを与えてくれたんだ。
そんな彼女はもういない。
この世界に私に幸せを与えてくれる人はもう……。
「桃香は私が憎い?」
「当たり前じゃない」
「皆んなを殺したんだよ」
「それで憎まない方が変だよ」
朱音が笑う。
何が可笑しいのか、彼女の笑顔が不快だ。
いや、彼女の存在自体が不快で堪らない。
「なら、私があなたに幸せを与える存在ならどう?」
「それでも私の事を憎いと言える?」
幸せを与える存在?
何、真奈ちゃんみたいに私に愛をくれるって言うの?
馬鹿にしないで。
私は怒りを堪えながら彼女に答える。
「あなたの愛は要らない」
「愛じゃなく幸せよ」
「いや、あなたの事を想い幸せを与えるのだから愛を与えるのと同じなのかも……」
「フフフどちらにせよ、あなたは欲しい筈よ」
「私が与える幸せを、愛を、あなたならきっと求めるわ」
彼女はそう言って語る。
私のこの先に訪れる幸せ……。
いや愛についてを。