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薄幸ポジションだけど幽閉ルートは断固拒否します  作者: つぶあん
私が薄幸キャラなんて冗談でしょう
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大人になるとわかる設定ってあるよね

目の前の伯母さまを放置して私は記憶をたぐり寄せた。

『ジュエルパレス』は近世ヨーロッパ風の宮廷を舞台にした乙女ゲームである。

乙女ゲームと銘打っているだけに、複数の男性キャラクターと恋に落ちるのだけども、少し変わっている部分としては主人公が一人ではないのだ。この種のゲームはたいてい、主人公は固定で、攻略するキャラクターごとにライバルキャラが居たりするものだが、このゲームの場合主人公を1人選ぶと、他の主人公格のキャラクターがライバルとなる。

『宮廷』を舞台として、恋愛ゲームをしているだけに女性同士の小競り合いや寵愛を受ける為の手練手管が繰り広げられるのだ。このシステムを発売当初は気にしなかったが、徐々に大人になっていくにつれ「あれ、これって後宮だよな」と思わざるを得なかった。

つまり、これから私が行くのは女同士のキャットファイトが日常的な世界なのだ。

ーーー後宮での女の戦い。想像するだけで恐ろしい。

人生長らくボッチになるほどのコミュ障にそんなところで生活をする事が出来るのだろうか。とりあえず今朝の私を殴っておきたい。なにも大丈夫じゃなかった。

とはいえ、ストーリーが始まるのはもっと年齢が経ってからの状況だったと記憶している。設定だと確か16、7だったけども、今の私の大きさ的には幼稚園児くらいだろうか。

「......今って何年でしたっけ?」

「突然どうしたの?皇帝歴650年でしょう」

やっと口を開いた私に伯母さまは不思議そうに首を傾げる。その仕草が絵画の様だったが、今は無視して考えをまとめる方が先である。

ゲームは確か660年って設定だったから、今は6歳くらいか。幼稚園児くらいだな、ウン。

ロザムンドのストーリーで、こんなに昔の話は出てこなかった。ということは、今はゲーム上のストーリー外の状況なのか。

つまり、公式外のストーリーを楽しめる!って思えばいいかもしれない。ひゃっほーーい!裏設定、裏設定大好き!!

さっき不思議だった陰鬱すぎる性格もこの後形成されると考えれば、今からどうにかすればストーリーも回避出来るかもしれない。そうよ、私、賢い。

そうすれば最初に思った『大好きなゲームの中を楽しむ』としながら生きて行けるじゃない!

よし、なんでこんなことになってるかわからないけど、今までの生活がつまらなかった分、とりあえず王宮に行くルート自体を回避しつつ世界を楽しんでやるわ。

と、1人で世界を肯定した。


「ロ、ロザムンド?やっぱり具合よくないのかしら?」

「いいえ!おばさま、失礼致しました。とても元気よ!」

「なら良かったわ。そうね、確かにこんなに溌剌としたあなたを見るのは初めてかもしれないわ」

「で、今日はどうなさったの?」

柔和に笑う美女につられてニコニコと笑って質問をした。

「本当に良かったわ。これなら予定していた王宮でのお茶会に行けるわね」

その一言に雷に打たれたように表情が固まる。

「今なんて?」

「だから、王宮に行くんでしょう、もう」

はいいいいぃぃぃぃ〜〜〜?

伯母さまの言葉に、背中から一気に汗が噴き出したのだった。

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